ネパールの首都カトマンズを中心に広がるカトマンズ盆地は、歴史と文化が交錯する特別な場所です。この地域は、仏教とヒンドゥー教が深く根付く宗教的な中心地であり、1979年にはユネスコ世界遺産に登録されました。ヒマラヤ山脈の壮大な景観に囲まれたカトマンズ盆地には、古代からの貴重な建築物や寺院が点在しており、訪れる人々を魅了しています。
本記事では、カトマンズ盆地の地図を活用しながら、世界遺産としての重要なスポットから、地元の人々に愛される隠れた観光名所まで、詳しく紹介していきます。カトマンズ盆地を訪れる際のガイドとして、またこの地域の歴史と文化を深く知る手助けとなるような内容をお届けします。
カトマンズ盆地にある隠れた観光スポットとその魅力
世界遺産としてのカトマンズ盆地の文化財と歴史的背景
カトマンズ盆地を効率的に観光するためのルートと現地文化
- カトマンズ盆地の概要と世界遺産登録理由
- カトマンズ盆地とは
- 世界遺産としての登録理由
- カトマンズ盆地の危機遺産指定
- カトマンズ盆地の基本情報
- カトマンズ盆地の歴史とネパールの文化遺産
- カトマンズ盆地の地理と歴史
- 3つの都市の特徴
- カトマンズ盆地に残る世界遺産の特徴
- 世界遺産と自然災害
- カトマンズ盆地の地図で辿る主要な観光スポット
- 隠れた観光スポット:地図に載っていない宝物
- カトマンズ盆地の主な観光スポット
- 世界遺産を地図で追う:カトマンズ盆地の文化財
- 観光ルートの提案:カトマンズ盆地を地図で計画する旅
- カトマンズ盆地の地図で見る現地の文化と風習
- カトマンズ盆地へのアクセスと旅行のヒント
- 世界遺産検定公式過去問集(4級)からの例題
- カトマンズ盆地・世界遺産登録理由のまとめ
カトマンズ盆地の概要と世界遺産登録理由
「アキラさん、カトマンズ盆地ってどんなところなんですか?」
「それはね、エミ。カトマンズ盆地はネパールの文化と歴史がぎゅっと詰まった場所で、仏教とヒンドゥー教が深く根付いているんだ。1979年には世界遺産にも登録されているよ。」
南アジアのネパールでは、エベレストがそびえるサガルマータ国立公園が世界遺産として有名です。
もう1つ、私たち日本人にとっても身近といえる文化遺産が登録されています。
それは、仏教の始まりの時代から続くカトマンズ盆地です。
ヒマラヤ山脈に囲まれたカトマンズ盆地は、見上げると頂上には常に雪が残り、裾野から盆地に緑が広がる南アジアの美しさで満たされた地域です。
紀元前から人々が行き来し、仏教をはじめとした南アジアこ信仰の中心地でとあるネパールには、カトマンズ市、パタン市、バクタプル市に残された芸術と信仰の文化が高く評価され、1979年に文化遺産として登録されています。
カトマンズ盆地とは
カトマンズ盆地はネパールの首都カトマンズ、パタン、バクタプルの3都市から成り立つ地域で、ヒマラヤ山脈の麓に位置しています。
標高約1300メートルにあり、歴史的、文化的な重要性が高い場所です。
カトマンズ盆地は多くの寺院や歴史的建造物が集まり、ネパールの文化遺産の中心地として知られています。
世界遺産としての登録理由
カトマンズ盆地は1979年にユネスコ世界遺産に登録されました。
その理由は、ネワール族の文化が色濃く反映された建築物や宗教施設が多数存在するためです。
特に、ヒンドゥー教と仏教が融合した独特の文化が評価されています。
また、カトマンズ、パタン、バクタプルの3つの都市には、美しい宮殿や寺院、仏塔が多く存在し、それらの建築物は16~18世紀に築かれたものが多いです。
カトマンズ盆地の危機遺産指定
カトマンズ盆地は、急激な都市化とそれに伴う環境問題、特に大気汚染や不適切な廃棄物管理のため、2003年から2007年の間にユネスコの危機遺産リストに指定されていました。
この間、ネパール政府と国際社会の協力により、盆地の環境改善と保存活動が進められ、現在ではその多くが改善されています。
カトマンズ盆地の基本情報
登録区分)文化遺産
登録年)1979年
登録基準)(3),(4),(6)
登録国)ネパール
登録地域)アジア
カトマンズ盆地の歴史とネパールの文化遺産
ネパールの首都という場合、国際的にはカトマンズ市のことを示しています。
一方で、カトマンズという場合には、カトマンズ盆地全体のカトマンズ郡、またはカトマンズ市・パタン市・バクタプル市を含むカトマンズ首都圏の両方の意味があります。
カトマンズ盆地の地理と歴史
カトマンズ盆地は、標高約1300m、沖縄と同じくらいの緯度にあり、熱帯のモンスーン気候にあたります。
インドまで続くガンジス川の支流、バグマティ川などの川が流れ、紀元前の頃から農業に適した大地が広がっています。
また、ヒマラヤ山脈を超えた先のチベット、さらには南のインドを経て中東へ続く貿易の中継点地として、旧石器時代から人が住んでいたことが明らかになっています。
カトマンズ盆地に関係する最も有名な人物は、仏教の開祖 釈迦(仏陀)でしょう。
釈迦(仏陀)によって仏教が広まった紀元前6世紀頃、現在のネパールを含むインド一帯は複数の王国によって統治され、当時はインド文化圏と呼ばれていました。
紀元前3世紀には、インドを統一したアショーカ王が釈迦(仏陀)の生誕地である南ネパールに巡礼を行い、仏教建築物を建立したとされています。
その後、他の地域の民族やイスラム勢力が入れ替わった中世を経て、18世紀前半にはカトマンズ西方にゴルカ王国が勢力を拡大します。
さらに第二次大戦の終戦までインドに影響力を持っていたイギリスの統治を経て、1951年にトリブバン国王が王位に就いたことで、立憲君主制の国家が建国されます。
3つの都市の特徴
カトマンズ盆地の中でも、文化遺産が集まるカトマンズ首都圏には、カトマンズ市・パタン市・バクタプル市の3つの都市があります。
カトマンズ市は、845767人の人口を抱え、面積49.5 km2と東京都江戸川区(49.90km2)とほぼ同じ広さのネパールの中心都市です。
723年に建設されたカトマンズ市には、ネパール最古の仏教寺院ともいわれるスワヤンブナート、中世から市民の憩いのバザールが開催されるインドラ・チョークが世界遺産として登録されています。
カトマンズ盆地南西部に位置するパタン市は、299843人の住民が暮らす国内4位の大都市です。
面積は36.1 km2で、大阪府吹田市 (36.09)や神奈川県茅ヶ崎市 (35.7km2)とほぼ同じ規模の街です。
建設された時期は299年とカトマンズ市よりも古く、仏教の記念物が1200以上存在する歴史ある街並みです。
中でも、9000の仏教彫刻が彫られたマハボーダ寺院は、1564年から1600年にかけて親子3代にかけて建築職人が築いた高さ30メートルの仏塔です。
仏教徒とヒンドゥー教徒両方に信仰されているマチェンドラナート寺院は、仏教徒は観世音菩薩の化身として信仰される、シヴァ神の化身マチェンドラナートが祀られています。
カトマンズ盆地の東端のバクタプル市は、古代から栄えていたとされる都市です。
現在は6.56 km2の面積に人口12020人が暮らす、日本国内では町や村の規模の街ですが、カトマンズ盆地で一番高いニャタポラ寺院が佇んでいます。
また、427年に建設された世界遺産ダッタトラヤ寺院、15世紀に建てられた僧院跡の「木彫美術館」はこの地域に築かれています。
カトマンズ盆地に残る世界遺産の特徴
さて、カトマンズ盆地の世界遺産にはダルバール広場(ダルパール広場)と呼ばれる歴史的な地域が登録されています。
ダルバール広場は、カトマンズ盆地のカトマンズ市・パタン市・バクタプル市にそれぞれある歴史的街並みの名称です。
かつて王宮のあった一帯には、カトマンズ市ではスワヤンブナート、パタン市ではマチェンドラナート寺院、バクタプル市にはニャタポラ寺院のボダナートというように、それぞれの広場にチベット仏教の寺院が集中しています。
世界遺産と自然災害
紀元前から栄え、仏教徒の拠り所でもあるカトマンズ盆地。
さらに歴史をさかのぼると、約8000年前までは湖だったとされています。
地震が身近な私たち日本人はすぐに気が付くはずです。
カトマンズ盆地一帯は、地盤がきわめて弱く、盆地全域に古い時代の湖や河川の堆積物が広がっています。
さらにヒマラヤ山脈は、ユーラシア・プレートにインド・オーストラリア・プレートが衝突する断層地域でもあります。
地震が起こりやすく、地盤も弱いカトマンズ盆地では2015年4月25日に起こったMw7.8のネパール中央部地震で2600人以上の方が亡くなられ、記録が残る限り少なくとも16回の大きな地震が発生したことが明らかになっています。
カトマンズ盆地の地図で辿る主要な観光スポット
「カトマンズ盆地ってたくさんの見どころがあるんですね。効率よく回るにはどうしたらいいですか?」
「そうだね、エミ。まずは地図を使って主要な観光スポットの位置関係を把握するといいよ。これで観光ルートを計画すれば、たくさんの場所を無駄なく巡れるよ。」
カトマンズ盆地は、ネパールの文化と歴史が詰まったエリアで、訪れるべき観光スポットが数多くあります。地図を見ながら、主要な観光スポットの位置関係を把握することで、効率的に観光を楽しむことができます。
まず、カトマンズ市の中心部にはダルバール広場があります。この広場は、ネパールの歴代王朝の宮殿が集まる歴史的な場所で、現在でも多くの寺院や建物が残っています。ダルバール広場は、カトマンズ観光の出発点として最適です。
次に、広場から東に少し移動すると、スワヤンブナート寺院(通称モンキーテンプル)が見えてきます。この寺院は、カトマンズ盆地を一望できる丘の上に位置しており、寺院内には神聖な仏塔や美しい仏教彫刻があります。観光ルートに組み込むと、カトマンズ全体を一望する素晴らしい景色を楽しむことができます。
さらに、カトマンズから南に進むと、パシュパティナート寺院が見えてきます。ヒンドゥー教の聖地として知られるこの寺院は、シヴァ神を祀っており、特に巡礼者が多く訪れる場所です。寺院内には火葬場があり、ヒンドゥー教徒にとって非常に重要な儀式が行われています。
カトマンズ盆地のもう一つの重要な都市、パタンも忘れてはいけません。パタンのダルバール広場は、カトマンズ市と同様に、歴史的な建物や寺院が集まる場所です。特にマハボーダ寺院は、細かい彫刻と高さ30メートルの仏塔で知られています。
最後に、カトマンズ盆地の東端にあるバクタプルを訪れると、ニャタポラ寺院やダッタトラヤ寺院など、古代から続く街並みを楽しむことができます。バクタプルは、カトマンズ市やパタン市とは異なる、静かで伝統的な雰囲気を持つ街です。
これらのスポットを地図で確認しながら訪れることで、カトマンズ盆地の歴史と文化をより深く理解することができるでしょう。
隠れた観光スポット:地図に載っていない宝物
カトマンズ盆地には、一般的な観光ガイドには載っていない、地元の人々に愛される隠れたスポットがいくつもあります。これらの場所を訪れることで、観光地の喧騒を離れ、静かで落ち着いた時間を過ごすことができます。
まず、ククリズ・コートを紹介します。この場所はカトマンズ市内にあり、かつてはネパール王国の軍事施設として使われていました。現在はほとんどの観光客が知らない場所ですが、古い建物と歴史的な展示物を見ることができます。歴史好きにはたまらないスポットです。
次に、パタン市内にあるゴールデンテンプル(ヒラニャ・ヴァルナ・マハーヴィハーラ)は、地図に大きく載ることは少ないですが、地元の人々の信仰の対象となっている美しい寺院です。金色の仏像や彫刻が施されたこの寺院は、訪れる人々に静けさと神聖さを提供します。
さらに、バクタプルの奥にあるチャング・ナラヤン寺院は、ネパール最古のヒンドゥー教寺院として知られています。この寺院は世界遺産に登録されているものの、観光客が少なく、静かに過ごせる場所です。山道を少し登る必要がありますが、その分素晴らしい景色と共に、古代の彫刻や建築を堪能できます。
最後に、カトマンズの郊外にあるクレシャン・カレル・ガーデンも隠れた宝物の一つです。この庭園は、ネパールの有名な作家クレシャン・カレルの故郷にあり、彼の作品と共に、美しい花々や樹木が植えられた庭園を楽しむことができます。静かでリラックスできる環境の中で、地元の文化に触れることができます。
これらの隠れたスポットを訪れることで、カトマンズ盆地の新たな魅力を発見することができるでしょう。地図には載っていない、地元ならではの体験を楽しんでみてください。
カトマンズ盆地の主な観光スポット
パシュパティナート寺院
シヴァ神を祀るネパール最大のヒンドゥー教寺院で、火葬場も併設されています。
1500年以上前から巡礼地とされ、ガンジス川の支流であるバグマティ川に遺灰が流されることがヒンドゥー教徒にとっての憧れです。
スワヤンブナート(モンキーテンプル)
カトマンズ盆地の西部に位置する仏教寺院で、丘の上からの眺めが素晴らしいです。
ヒマラヤ最古の仏教寺院とされ、訪れる人々に平和と静寂を提供しています。
ブッダアイが描かれた金色の仏塔は特に有名です 。
ダルバール広場
カトマンズ、パタン、バクタプルの各都市にある歴史的な広場で、王宮や寺院が立ち並びます。
特にカトマンズのダルバール広場は、ネパールの王宮の中心地として機能していました。
パタンやバクタプルの広場も美しい建築物で知られています。
カトマンズ盆地へのアクセスと旅行のヒント
日本からのアクセス
日本からカトマンズへの直行便は少ないですが、インドやタイなどを経由してアクセスすることが一般的です。
主要な経由地はデリーやバンコクで、そこからカトマンズへのフライトが利用できます。
現地の交通手段
市内の移動はタクシーやレンタカーが便利です。
観光スポット間の距離が比較的近いため、徒歩での観光も楽しめます。
また、地元のバスやリキシャも利用可能です。
観光時の注意点
カトマンズ盆地は標高が約1300メートルあるため、高山病に注意が必要です。
特に、登山や長時間の屋外活動を予定している場合は、適切な準備が重要です。
また、寺院訪問時には服装やマナーに気を付けましょう。
観光地では飲料水に注意し、ボトル入りの水を利用することをお勧めします。
参照サイト:UNESCO World Heritage Centre
世界遺産検定公式過去問集(4級)からの例題
Q1.次の3つの文から推測される世界遺産として、正しいものはどれか。
・ヒマラヤ山脈のふもとに位置する。
・「ラリトプル(美の都)」と呼ばれたパタンという都市が含まれる
・2015年のネパール大地震で甚大な被害を受けた
引用元: 世界遺産検定公式過去問集(9p15,2018年3月世界遺産検定3級より)
1. ザカルマータ国立公園
2. カトマンズの谷
3. スコータイと周辺の歴史地区
4. グレート・ブルカン・カルドゥン山と周辺の聖なる景観
カトマンズ盆地のお話はいかがでしたか?
世界遺産検定の過去問は、もしかするとヒマラヤ山脈と書かれた説明文でザカルマータ国立公園が思い浮かんだ方が多いのではないでしょうか?
ネパール語は聞き慣れない名前の建築物が多く紹介されていますが、冠婚葬祭で身近な仏教の始まりの地と思うと、とても身近に感じやすい世界遺産なのではないでしょうか?
カトマンズ盆地は、ネパールの豊かな歴史と文化を感じることができる素晴らしい場所です。
美しい寺院や宮殿、独特の建築様式が訪れる人々を魅了します。
高山病に注意しつつ、歴史と文化に触れる旅を楽しんでください。
「この記事を読んで、カトマンズ盆地がどれだけ歴史的に重要な場所かがよく分かりました。仏教やヒンドゥー教の文化にも触れてみたくなりますね。」
「そうだね、エミ。カトマンズ盆地は文化と自然が融合した素晴らしい場所だから、ぜひ一度訪れて、その魅力を直接感じてほしいな。」