ピラミッドは墓ではない？中入れる入れない？世界遺産になった理由は

ピラミッドは、古代のロマンと神秘を象徴するエジプトの偉大な建造物であり、世界遺産としても名高い存在です。
多くの人々が、ピラミッドは古代エジプトのファラオの墓として建てられたと信じていますが、実際にはその目的は未だに完全には解明されていません。
本記事では、「ピラミッドは墓ではない」という説を検証し、ピラミッドの内部に入れるかどうか、その理由について詳しく探ります。
また、ピラミッドが世界遺産に選ばれた背景とその価値についても考察します。古代エジプトの偉大な文明とその象徴であるピラミッドの真実に迫り、その魅力を再発見しましょう。

 

 

世界遺産に登録されたピラミッド：その理由と歴史と特徴

 

言わずと知れた古代のロマン、ピラミッドはエジプトが誇る世界遺産でもあります。
旅番組や歴史番組、都市伝説まで幅広く取り上げられるエジプトのピラミッド。
世界の七不思議にも選ばれ、未だ真実が明らかになっていない歴史的建造物です。

私たちの想像を超える古代の偉大な建築物、ピラミッド。
これらは単なる壮大な石の山ではなく、文化、宗教、そして技術の進歩が結集したシンボルです。この記事では、世界遺産としてのピラミッドの魅力とその背後にある歴史を、優しく解き明かしていきます。

 ピラミッドが世界遺産になった背景

ピラミッドと聞いて多くの人が思い浮かべるのはエジプトのギザの大ピラミッドかもしれません。正式には「ギザのピラミッド群」として世界遺産リストに登録されています。

これらのピラミッド群がどのようにしてその名を世界に轟かせることになったのか、その歴史に触れてみましょう。

メンフィスとその墓地遺跡 – ギザからダハシュールまでのピラミッド地帯の基本情報

 

 

エジプトの世界遺産『エジプトの歴史とメンフィスのピラミッド地帯』は、古代エジプトの都市遺跡メンフィスとナイル川西岸にある墓地遺跡群を含む南北およそ30㎞の範囲が含まれています。

遺跡の中には、一年間に何度も放送されるギザの大ピラミッドのほか、いくつもの建造物が含まれています。

文化遺産としての登録基準は、
「（1）人類の創造的才能を表現する傑作」とされる建造物そのものの価値、
「(3) 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠」とされる歴史を今に残す価値、
「(6) 顕著で普遍的な意義を有する出来事」
とされる建造にまつわる背景の3つで高い評価を受けています。

 

 ピラミッドが世界遺産に登録された年

ピラミッド群は1979年にユネスコの世界遺産に正式登録されました。
この登録は、ピラミッドが持つ無比の歴史的価値と、人類共通の財産としての重要性を国際社会が認めたことを意味します。

 

エジプトの歴史とメンフィスのピラミッド地帯

エジプトが誇る世界遺産『エジプトの歴史とメンフィスのピラミッド地帯』には、ピラミッドといえば多くの方が想像するギザの大ピラミッドが含まれています。

ピラミッドの建造にまつわる理由も含めて、改めて古代エジプトという文明をおさらいしてみます。

古代エジプトとは？

古代エジプトは、具体的な記録が残る紀元前3000年頃にはじまり、紀元前30年に古代ローマとの争いで滅亡した文明です。

現在のエジプトのナイル川下降地域で、乾燥したサハラ砂漠の中にあってもナイル川のもたらす肥沃な農地で食料が得られたことから、具体的な記録が残る遥か前から人々が暮らしていたとされています。

どのくらい文明は発展していたのか？

紀元前3000年頃、日本は縄文時代後期とされています。

縄文時代の日本では農業が発展しておらず、樹の実や自然の野菜、鳥や海などを採集する狩猟採集生活を営んでいたとされています。

一方、古代エジプトでは皇帝ファラオを中心とした政治が行われ、中流階級以上の子どもには義務教育の制度があったことが明らかになっています。

また、産出される豊富な貴金属で中東地域から木材を輸入する貿易も行われ、経済も発展していました。

小麦や豆は自国で生産され、ワインやビールの醸造も盛んだったことから、豊かな食料があったことがうかがえます。

エジプト神話を元に、宇宙や太陽、大空を支配する神々が信仰され、死者は神が新しく創造する世界で生まれ変わると信じられていました。

この信仰が、ミイラでの埋葬やピラミッドの建造に深く関わっています。

ピラミッドが建造された背景

紀元前3000年頃から発展を続けた古代エジプトには、現代にまで人々を惹きつける大規模建造物ピラミッドがあります。

世界遺産の『メンフィスとその墓地遺跡』には、南北およそ30㎞の範囲の遺跡が登録され、いくつものピラミッドが含まれています。

中でも、クフ王・カフラー王・メンカウラー王のピラミッドはギザの三大ピラミッドと呼ばれています。

最も大きいものはクフ王のピラミッドで、元の高さは約146.6mですが、現在の高さは138.8mです。

スフィンクスを背景に、頂上の石が異なるものがカフラー王のピラミッドです。

メンカウラー王のピラミッドは、高さ62mとギザの三大ピラミッドの中でもクフ王・カフラー王のピラミッドに比べてコンパクトです。

ピラミッドの建造には、いくつもの説があります。
代表的なものに、皇帝ファラオを安置する墓標として建設されたとされています。
ピラミッドの建造には、墓としての目的の他、農閑期の人々の生活を保障する公共事業だったという説もあり、労働の代わりに食料の配給を受けていたともされています。

他にも、天体観測のための施設、宗教のための設備、中には宇宙人によって建造された説もあり、私たちの興味を飽きさせません。

エジプトのピラミッドの種類とそれぞれの特徴

エジプトのピラミッドはその完璧な形と巨大さで有名です。特にギザの大ピラミッドは、その規模と古代からの完璧な保存状態が世界中の人々を引きつけてやみません。

 メキシコのピラミッド

メキシコにもテオティワカンの太陽のピラミッドなど、壮大なピラミッドが存在します。
これらはエジプトのものとは異なり、しばしば階段状の構造を持ち、その頂上には古代の神々に捧げる祭壇がありました。

その他の国のピラミッド

世界中には他にもピラミッド形式の建造物が存在します。

例えば、スーダンにはナパタとメロエのピラミッドがあり、これらはより急勾配で小型ですが、独自の歴史的背景を持っています。　

 ピラミッドが世界遺産に登録された理由

ピラミッドは古代文明の知恵と技術の粋を集めたものです。
それぞれのピラミッドが建てられた目的と文化的背景を理解することは、私たちが過去の人類とのつながりを感じる手助けとなります。

 保存状態と保存活動

これらの古代の巨大構造物は時とともに損傷する可能性がありますが、国際的な努力により、多くのピラミッドが驚くほど良好な状態で保存されています。

保存活動には科学的な調査が含まれ、これによって我々はこれらの壮大な建造物がどのようにして時代を超えて生き残ってきたのかを理解することができます。

古代文明におけるピラミッドの役割とその歴史的影響

ピラミッドは単なる墓ではありませんでした。
これらは古代の支配者たちが自らの権力を示し、死後の世界での生活を保証するための象徴的な建築物として機能していました。
特にエジプトでは、ピラミッドはファラオの神格化と永遠の命の象徴とされていました。

現代におけるピラミッドの影響

ピラミッドの形状は今日でも多くの文化や芸術作品に影響を与えています。

映画、文学、さらには現代建築に至るまで、ピラミッド形式の美学は人類の創造性を触発し続けています。
また、これらの古代の遺産は観光の大きな引き寄せとなっており、世界中から旅行者を惹きつけています。

ピラミッドの内部に入れる？入れない？その真相と理由

ピラミッドの神秘に触れたいと願う人々にとって、その内部へのアクセスは一つの大きな関心事です。一部のピラミッドは内部見学が可能ですが、全てのピラミッドに入れるわけではありません。本章では、ピラミッドの内部に入れるかどうか、その制限や理由について詳しく解説します。古代エジプトの驚くべき建築技術と、その背後にある歴史的背景を探りながら、ピラミッド内部へのアクセスについての真実に迫ります。

ピラミッドは本当に墓ではないのか？

ピラミッドが古代エジプトのファラオの墓であるという説は広く知られていますが、本当にそれだけなのでしょうか？近年の研究や発掘調査によって、ピラミッドには墓以外の用途もあったのではないかという新たな説が浮上しています。

新たな説の背景

まず、ピラミッドが墓であるという説は、内部から発見されたファラオの遺体や埋葬品に基づいています。しかし、一部のピラミッドからは遺体が発見されていないこともあります。このため、ピラミッドが必ずしも全て墓として使われていたわけではない可能性があるのです。

代替説：宗教的・天文学的用途

ピラミッドの建設には高度な天文学的知識が活用されていたことがわかっています。例えば、ピラミッドの角度や配置が特定の星座や天体の動きと一致していることが確認されています。これにより、ピラミッドは宗教的儀式や天文学的観測のための施設だった可能性も考えられます。

公共事業としてのピラミッド建設

また、ピラミッドの建設には大量の労働力が投入されました。この労働力は、農閑期の農民が動員されたと言われています。ピラミッド建設は、彼らの生活を保障するための公共事業だったという説もあります。これは、労働者に対して食料や住居が提供された記録からも裏付けられています。

ピラミッドの多様な役割

このように、ピラミッドは墓としてだけでなく、宗教的・天文学的用途や公共事業としての側面も持っていた可能性があります。古代エジプトの文明は複雑で多面的であり、ピラミッドもその一部として多様な役割を果たしていたと考えられます。

ピラミッドの中に入れる方法と制限

ピラミッドの内部に入ってその神秘を直に感じたいという人は多いでしょう。しかし、全てのピラミッドが観光客に開放されているわけではありません。ここでは、ピラミッドの内部に入る方法と、その際の制限について詳しく解説します。

ギザの大ピラミッド

まず、最も有名なギザの大ピラミッドは内部見学が可能です。訪問者は狭い通路を通り、王の間や女王の間を見ることができます。ただし、内部は非常に狭く、通路が急勾配であるため、身体的に厳しいと感じる方もいるかもしれません。

入場チケットと事前予約

ピラミッド内部に入るためには、入場チケットが必要です。特に人気のあるピラミッドは混雑が予想されるため、事前予約を強くお勧めします。チケットは現地の観光案内所やオンラインで購入できます。

制限事項

内部見学にはいくつかの制限があります。まず、写真撮影は禁止されていることが多いです。また、内部の空間が限られているため、一度に入場できる人数にも制限があります。これは、保存状態を保つための措置でもあります。

その他のピラミッド

ギザ以外にも内部見学が可能なピラミッドがあります。例えば、ダハシュールの屈折ピラミッドやレッドピラミッドも内部見学が可能です。これらのピラミッドはギザほど混雑しておらず、より静かな環境で見学することができます。

見学時の注意点

内部は非常に暗く、通路が狭いことが多いので、しっかりとした靴を履いていくことをお勧めします。また、夏場は内部の温度が非常に高くなるため、涼しい時間帯に訪問することが望ましいでしょう。

表：主なピラミッドの内部見学情報

このように、ピラミッド内部の見学は多くの観光客にとって魅力的な体験ですが、いくつかの制限や注意点もあります。計画的に訪問し、古代エジプトの神秘を存分に楽しんでください。

ピラミッドに入れない理由とその背景

エジプトのピラミッドは、その壮大さと神秘に多くの観光客を惹きつけますが、すべてのピラミッドに自由に入ることができるわけではありません。その理由と背景には、いくつかの重要な要素が関わっています。

保存のための措置

ピラミッドは数千年前に建造された非常に古い構造物です。そのため、内部の保存状態を維持するために、入場制限が設けられています。特に、観光客が多く訪れることで内部の温度や湿度が変化し、壁画や構造自体にダメージを与える可能性があります。これを防ぐために、定期的に内部を閉鎖してメンテナンスを行うことが必要です。

安全性の問題

一部のピラミッドは内部が非常に狭く、通路が急勾配であるため、安全上の理由から一般公開されていません。特に、老朽化した部分があるピラミッドでは、崩落の危険性があるため、入場が制限されています。観光客の安全を第一に考え、リスクが高いと判断された場合には閉鎖されることがあります。

考古学的研究

現在も進行中の考古学的研究のために、特定のピラミッドが公開されていないことがあります。新たな発見や保存のための措置が必要な場合、研究チームが集中的に作業を行うため、一般公開が制限されることがあります。これにより、ピラミッドの内部が損傷することなく、貴重な情報が保護されます。

観光客の管理

ピラミッドは世界中から訪れる観光客で賑わいますが、すべてのピラミッドを常に開放することは難しいです。観光客の流れを管理し、混雑を避けるために、特定のピラミッドは特定の時間帯のみ公開されることがあります。これにより、訪問者が快適に見学できる環境が整えられます。

このように、ピラミッドに入れない理由は保存、安全、研究、管理の観点から多岐にわたります。これらの背景を理解することで、訪問者はピラミッドの保護と永続的な保存の重要性を認識することができるでしょう。

ピラミッドが世界遺産に選ばれた理由

エジプトのピラミッドは、その壮大さと歴史的価値から、ユネスコの世界遺産に登録されています。では、なぜピラミッドが世界遺産に選ばれたのでしょうか？その理由をいくつか挙げてみましょう。

人類の創造的才能の表現

ピラミッドは古代エジプトの高度な建築技術と創造力を象徴しています。巨大な石を精密に積み上げて構築されたこれらの建造物は、当時の人々の技術力と知識の結晶です。特に、ギザの大ピラミッドは、古代の人々がいかに精密な計算と工夫を駆使して巨大な建造物を作り上げたかを示しています。

歴史的価値と文化的意義

ピラミッドは、古代エジプト文明の象徴として重要な歴史的価値を持っています。これらの建造物は、ファラオの権力と神聖さを示すとともに、古代エジプトの宗教や文化、社会構造について多くのことを教えてくれます。また、ピラミッドには多くの埋葬品や壁画が残されており、これらは当時の生活や信仰についての貴重な資料です。

普遍的な意義

ピラミッドは、古代の建築物としてだけでなく、現代の人々にとっても普遍的な意義を持っています。ピラミッドの壮大さと神秘は、世界中の人々に感動を与え続けています。これらの建造物は、古代の知識と技術の象徴として、また人類の歴史の一部として、未来の世代に伝えられるべき遺産です。

保存状態の良さ

ピラミッドは、何千年もの間、比較的良好な状態で保存されてきました。その保存状態の良さも、世界遺産に選ばれた理由の一つです。これにより、現代の私たちは、古代の人々が作り上げた偉業を直接見ることができ、当時の技術や文化を学ぶことができます。

このように、ピラミッドが世界遺産に選ばれた理由は、その創造的才能、歴史的価値、普遍的な意義、そして保存状態の良さにあります。ピラミッドは、古代エジプトの偉大な遺産として、そして人類全体の財産として、未来に渡って保護され続けるべき存在なのです。

世界遺産検定公式過去問集(4級)からの例題

Q1.世界遺産条約は、1972年の第17回ユネスコ総会において、満場一致で採択された。この条約が誕生するきっかけとなったのは1960年代にユネスコが行った「（　）の遺跡調査キャンペーン」である。日本は1992年に世界遺産条約を締結し、2018年3月現在、21件が世界遺産に登録されている。
〜文中の空欄に当てはまる語句として正しいものはどれか。
引用元: 世界遺産検定公式過去問集（p7,2018年3月世界遺産検定4級より）

1.ヌビア
2.メンフィス
3.カイロ
4.ビブロス

Q2.メンフィスのピラミッド地帯の説明として、正しくないものはどれか。
引用元: 世界遺産検定公式過去問集（p39,2018年9月世界遺産検定4級より）」

1.ギザの大ピラミッドはクフ王、ツタンカーメン王、カフラー王のものからなる。
2.ギザの大ピラミッドの中で最も大きいものは、クフ王のピラミッドである。
3.ピラミッドの建造目的は、農閑期の人々の生活を保障する公共事業だったという説もある。
4.カフラー王のピラミッドへ続く参道の入り口に立つスフィンクスも、構成資産に含まれる

 

 

Q3.スフィンクスを構成資産に含む『メンフィスのピラミッド地帯』に関する以下の文中の語句で正しくないものはどれか。

〜『メンフィスのピラミッド地帯』の中でも（1.ギザの大ピラミッド）は巨大でありよく知られている。そのうち最も大きいものは（2. ラメセス2世のピラミッド）である。スフィンクスは（3. カフラー王）へ続く参道の入口にある。ピラミッドの建造目的は、農閑期の人々を動員して（4. 生活を保障する公共事業）であったという説もある。
引用元: 世界遺産検定公式過去問集（p59,2018年12月世界遺産検定4級より）

1.ギザ
2.ラメセス2世のピラミッド
3.カフラー王
4.生活を保障する公共事業

 

Q4.次の4つの建物の中で、高さが一番高いものはどれでしょうか。引用元: 世界遺産検定公式過去問集（p73,2018年3月世界遺産検定3級より）

1.クフ王のピラミッド『メンフィスのピラミッド地帯』
2.東寺の五重塔『古都京都の文化財』
3.エッフェル塔『パリのセーヌ河岸』
4.『自由の女神像』

 

Q5.日本の縄文時代にあたる紀元前2500年ごろに築かれた建造物として、正しいものはどれでしょうか。引用元: 世界遺産検定公式過去問集（p101,2018年12月世界遺産検定3級より）

1.『タージ・マハル』
2.『マチュピチュ』
3.ギザの大ピラミッド（『メンフィスほピラミッド地帯』）
4.パルテノン神殿（『アテネのアクロポリス』）

メンフィスとその墓地遺跡のまとめ