クロアチアの観光地として高い人気を誇るプリトヴィツェ湖群国立公園は、その圧倒的な自然美と豊かな生態系から、世界遺産に登録されています。
16の湖と92の滝が織りなす景観は、訪れる人々を幻想的な世界へと誘い、一年を通じて異なる表情を見せます。特に、紅葉の時期にはエメラルドグリーンの湖と鮮やかな秋の彩りが織り交ざり、息を呑むような絶景が広がります。
本記事では、プリトヴィツェ湖群国立公園の魅力とともに、紅葉シーズンの見どころや効率的な回り方について詳しくご紹介します。自然の美しさを余すところなく堪能できる旅の計画を立てる際の参考にしてください。
・プリトヴィツェ湖群国立公園の紅葉シーズンの見どころや美しさについて理解できる
・公園内での効率的な回り方やおすすめルートについて知ることができる
・公園を訪れる際の宿泊施設やアクセス方法について情報が得られる
・紅葉時期に訪れる際の注意点や持ち物の準備について学べる
リトヴィツェ湖群国立公園の紅葉時期と魅力や効率的な回り方
「アキラさん、プリトヴィツェ湖群国立公園の紅葉がすごく綺麗だって聞いたんですけど、どんな感じなんですか?」
「それは本当に素晴らしいよ、エミ。特に紅葉シーズンのプリトヴィツェは、エメラルドグリーンの湖と紅葉のコントラストが見事で、まるで絵画のような風景が広がるんだ。」
クロアチアの世界遺産では、「アドリア海の真珠」と呼ばれ、中世の美しい町並みが残るドゥブロヴニク旧市街が有名な文化遺産です。
クロアチアにはもう1つ、美しい自然遺産もあります。
幻想的な滝と川が流れる森林一体が自然遺産として登録された、プリトヴィツェ湖群国立公園です。
プリトヴィツェ湖群国立公園の基本情報
登録区分)自然遺産
登録年)1979年
登録基準)(7), (8), (9)
登録国)クロアチア
登録地域)ヨーロッパ
クロアチアの中部に位置するプリトヴィツェ湖群国立公園は、16の湖と92の滝が織りなす自然の美しさが高く評価されたクロアチアが誇る自然遺産です。
プリトヴィツェ湖群国立公園
クロアチアの自然の美しさの象徴でもあるプリトヴィツェ湖群国立公園の成り立ち、そしてかつて起こった危機に触れさせていただきます。
地理
プリトヴィツェ湖群国立公園は、南ヨーロッパのバルカン半島、アドリア海に面したイストリア地方のリカ=セニ郡とカルロヴァツ郡にまたがる国立公園です。
公園全体の面積は192km2、埼玉県飯能市(193.05km2)や東京都八王子市(186.3km2)と同じくらいの広さで、海外の国立公園としてはコンパクトでもあります。
アドリア海沿いに南北に長いクロアチアには、北西から南東へ645km伸びるディナル・アルプス山脈があり、石灰岩などの水に溶解しやすい岩石で構成された大地が雨水、地表水、土壌水、地下水などで侵食されてできたカルスト地形が多く見られる地域です。
幻想的なエメラルドグリーンの16の湖
プリトヴィツェ湖群国立公園には、森の中を流れいくつもの分岐した川、さらに16の湖と92の滝が現実感を薄れさせてくれる風景を見せてくれます。
中でも、流れが緩やかになる川と湖場に現れる、白い砂とエメラルドグリーンの湖はクロアチアならではともいえます。
川と湖の水がエメラルドグリーンに見えるのは、プリトヴィツェ湖群国立公園の地層にあります。
今から10数億年前の太古、プリトヴィツェ湖群国立公園を含む一帯は海や湖に覆われていました。
海や湖に暮していたサンゴや貝類、海棲動物の骨が長い期間堆積し、水の底にカルシウムを含む石灰質堆積物が生まれます。
その後、5億年前から10億年前に起きたアルプス地殻運動によって、海側から陸側に大きな圧力がかかり、硬い陸側の岩盤に押し負けた地層は地上に現れることになります。
約2億5217万年前から約6600万年前に現れた石灰岩とドロマイト(白雲岩)は、地上を流れる川によって削られ、白い砂のようになり水に溶け出します。
こうして生まれた石灰質堆積物を含む水は、太陽の光を受けると淡く輝くエメラルドグリーンの水になるわけです。
この現象は、世界各地の温泉地にも見られ、地球の内部から湧き上がることでも同じようにエメラルドグリーンに見えるのですが、過去に起こった地殻変動の痕跡から、プリトヴィツェ湖群国立公園内の石灰質堆積物は、太古の海によって生まれた説が有力とされています。
絶妙な植物の生態系のバランス
プリトヴィツェ湖群国立公園内には、アルプス山脈周囲のブナやカシなどの森林と、地中海周辺のモミやマツ、オリーブなど異なる気候の植物が入り混じる絶妙な植生とされています。
これは、気候区分の境界付近の地域であることと、公園内の標高差による絶妙なバランスの上で成り立っているとされています。
森の中で暮らす動物
異なる気候の植物によって生まれた、プリトヴィツェ湖群国立公園内の豊かな森林には多くの動物が暮らしています。
中でもフクロウ科のワシミミズク、キジ科のヨーロッパオオライチョウはヨーロッパの地域でも特に希少とされています。
他にも70種以上の鳥類がこの湖群を繁殖地としていることが確認されています。
また、エメラルドグリーンの湖や川には淡水のマスの仲間が多く生息し、水の生き物の多様性も豊かな自然遺産でもあります。
自然遺産に及ぶ戦争
幻想的な風景の美しいプリトヴィツェ湖群国立公園内ですが、かつて危機が訪れたこともあります。それは、1991年のソビエト連邦崩壊から、国連が参加し終結した2001年まで続いたユーゴスラビア紛争です。
ユーゴスラビア時代には最も人気のある観光地とされたプリトヴィツェ湖群国立公園内は、1991年3月に起きたの最初の武力衝突 プリトヴィツェ湖群事件の舞台となり、1995年8月にクロアチア側が奪還するまで武力衝突が繰り返されました。
この紛争の期間にクロアチアの文化遺産、ドゥブロヴニク旧市街とともにプリトヴィツェ湖群国立公園内も危機遺産に登録されることになります。
紅葉時期のプリトヴィツェ湖群国立公園:宿泊施設とアクセスガイド
紅葉シーズンのプリトヴィツェ湖群国立公園を訪れる際には、滞在場所とアクセス方法をしっかりと計画しておくことが重要です。この時期は観光客が増えるため、早めの準備が必要です。ここでは、紅葉時期におすすめの宿泊施設とアクセス方法について詳しく解説します。
宿泊施設の選び方
紅葉シーズンは、プリトヴィツェ湖群国立公園の周辺での宿泊が特に人気です。公園に近い宿泊施設を選ぶことで、早朝や夕方の混雑を避け、静かに紅葉を楽しむことができます。
1. プリトヴィツェ湖群国立公園内の宿泊施設 公園内にはいくつかの宿泊施設があり、アクセスの良さから特に人気があります。代表的な施設には、「ホテル ジェゼロ(Hotel Jezero)」、「ホテル プリトヴィツェ(Hotel Plitvice)」、「ホテル ベレヴィエール(Hotel Bellevue)」があります。これらのホテルは公園の主要エントランスに近く、朝早くから公園を訪れることができるため、混雑する前に散策を始めることが可能です。
2. 公園周辺の宿泊施設 公園の外にも多くの宿泊施設があります。例えば、エントランス1やエントランス2の近くには、快適なゲストハウスやペンションが多数あり、手頃な価格で宿泊できます。「ペンション パルガン(Pansion Plitvicka Vrela)」や「ゲストハウス アナ(Guesthouse Ana)」などがその例です。これらの施設は、家族経営の小さな宿泊施設で、アットホームな雰囲気を楽しめます。また、周辺のレストランで地元の料理を楽しむこともでき、クロアチアの文化に触れる良い機会となります。
アクセスガイド
プリトヴィツェ湖群国立公園へは、クロアチアの主要都市からのアクセスが便利です。紅葉シーズンは観光客が多いため、事前に交通手段を確認し、早めに移動することをおすすめします。
1. ザグレブからのアクセス 首都ザグレブからプリトヴィツェ湖群国立公園までは、約2時間半の距離です。バスが最も一般的な移動手段であり、ザグレブの主要バスターミナルから定期的に運行しています。バスのチケットはオンラインで事前に購入することができ、出発時間や座席を選ぶことができます。紅葉シーズンは混雑が予想されるため、早朝便を利用すると混雑を避けられるでしょう。
2. ザダルやスプリトからのアクセス ザダルやスプリトからもバスでアクセスできますが、ザダルからは約2時間半、スプリトからは約4時間の道のりです。ザグレブからのバスよりも本数が少ないため、事前にスケジュールを確認しておくと安心です。また、スプリトからは早朝の便が少ないため、前日にザグレブやザダルに移動しておくのも一つの方法です。
3. 車でのアクセス 車で訪れる場合は、ザグレブからE71号線を南下し、標識に従って進むと公園に到着します。公園周辺には駐車場が多数ありますが、紅葉シーズンは混雑するため、早めに到着して駐車スペースを確保することをおすすめします。また、車で移動すると、周辺の小さな村や観光スポットにも立ち寄ることができるため、旅の幅が広がります。
4. 公園内での移動手段 プリトヴィツェ湖群国立公園内では、電動バスや遊覧船を利用して移動できます。これらの交通手段は入場チケットに含まれており、効率的に公園内を回ることができます。紅葉の景色を楽しみながらの移動は、特に遊覧船がおすすめです。湖上から眺める紅葉は、陸上とは異なる視点で美しさを堪能できるでしょう。
このように、紅葉シーズンのプリトヴィツェ湖群国立公園を訪れる際には、宿泊施設とアクセス方法をしっかりと計画し、快適で思い出深い旅をお楽しみください。
世界遺産検定公式過去問集(4級)からの例題
2018年の出題はありませんのでAIで作成しました。
プリトヴィツェ湖群国立公園のまとめ
- プリトヴィツェ湖群国立公園はクロアチアの世界遺産である
- 公園内には16の湖と92の滝が広がる
- 紅葉シーズンは10月中旬から11月初旬が見頃である
- 紅葉時期の公園はエメラルドグリーンの湖と紅葉のコントラストが美しい
- ヴェリキ滝は紅葉の絶景スポットとして人気が高い
- プリトヴィツェ湖群国立公園内には宿泊施設も完備されている
- 公園内では電動バスや遊覧船での移動が可能である
- 公園へのアクセスはザグレブからのバスが一般的である
- 車でのアクセスも可能であり、周辺の観光も楽しめる
- 早朝に訪れると混雑を避けやすい
- 公園内は日中と朝晩で気温差があるため、服装に注意が必要
- 滑りやすい道が多いため、トレッキングシューズがおすすめである
- 公園内の飲食店は限られているため、軽食を持参すると良い
- カメラは必携で、特に予備バッテリーも準備しておくべきである
- プリトヴィツェ湖群国立公園公式サイトから最新情報を確認できる