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奄美大島徳之島沖縄島北部及び西表島世界遺産理由と特徴・絶滅危惧種まとめ

奄美大島・徳之島・沖縄島北部・西表島の自然遺産を象徴する滝、固有種のイリオモテヤマネコ、ビーチ、断崖を4分割で描いたデジタルイラストと、中央に配置された「世界遺産になった理由」の文字
ユネスコ世界遺産に登録された奄美・沖縄の4地域の自然の魅力と生態系の価値を伝えるビジュアル

日本の自然遺産として2021年に登録された「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」

登録から数年経った今も、「奄美大島徳之島沖縄島北部及び西表島世界遺産いつ登録されたの?」「登録の理由は何?」「どんな特徴があるの?」といった声が多く検索されています。

この記事では、そんな疑問を持つあなたのために、「奄美大島徳之島沖縄島北部及び西表島世界遺産理由」や、注目される自然の魅力、登録までの背景をわかりやすく解説します。

特に、これらの地域にしか生息しないイリオモテヤマネコやヤンバルクイナなどの固有種を含む、「奄美大島徳之島沖縄島北部及び西表島絶滅危惧種」にも注目。

なぜこの4地域が選ばれたのか、どんな生き物たちが守られているのか、
「奄美大島徳之島沖縄島北部及び西表島特徴」とあわせて詳しくご紹介します。

また、「沖縄島北部及び西表島の読み方」や、「徳之島が世界遺産に登録された理由」など、検索上位に上がっている関連質問にも触れつつ、自然と人が共に歩んできた歴史と価値をお伝えします。

自然が好きな方、旅行を計画している方、世界遺産検定の学習者にも役立つ内容となっていますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

 

◎この記事のポイント
・奄美大島徳之島沖縄島北部及び西表島世界遺産いつ登録されたかがわかる
・世界遺産に選ばれた理由とその背景が理解できる
・各地域の自然環境と固有の特徴を把握できる
・絶滅危惧種や固有種の重要性と保護の取り組みが学べる

 

奄美大島と徳之島、沖縄島北部及び西表島の世界遺産登録はいつ?その理由とは

奄美大島と徳之島、沖縄島北部および西表島は、2021年にユネスコの世界自然遺産に登録されました。

この地域は、日本国内でも特に手つかずの自然が残されていることで知られ、「東洋のガラパゴス」とも称されるほど豊かな生態系を誇ります。

この章では、登録された「時期」と「その理由」に焦点を当てて、なぜこの4つの島が世界遺産として選ばれたのか、その背景をわかりやすく解説します。

はじめてこの地域の自然遺産について調べる方にも理解しやすいように、登録の経緯・ユネスコが重視したポイントを丁寧にご紹介していきます。

 

ユウ:旅行や歴史に興味を持つ大学生
ユウ:旅行や歴史に興味を持つ大学生

「先生!この4つの島って、いつ世界遺産になったんですか?最近なんですか?」

 

世界遺産に詳しい博士
世界遺産に詳しい博士

「いい質問だね。実は2021年に、ようやく世界自然遺産として登録されたんだ。理由はね…ただの自然じゃなくて、“ここにしかない命”があるからなんだよ」

奄美大島と徳之島、沖縄島北部及び西表島の世界遺産登録はいつ?

奄美大島、徳之島、沖縄島北部、西表島は、2021年7月26日にユネスコの世界自然遺産に登録されました。

この登録によって、日本の自然遺産としては4件目となり、大きな注目を集めました。

この4地域の登録は、ユネスコ世界遺産委員会による正式な審議を経て決定されました。実際には、登録までに長い年月をかけて準備と申請が進められてきました。環境保護の取り組みや、生態系の調査・管理体制の整備など、国や地域が連携して努力を重ねた結果といえます。

また、登録までの道のりは決して平坦ではありませんでした。一度は2018年に延期勧告を受けたこともあります。その後、保護体制の強化や観光とのバランスを見直すことで、再審査にこぎつけ、2021年の登録へとつながったのです。

以下の表は、日本国内の自然遺産の登録年と順番をまとめたものです:

名称 登録年 区分
白神山地(青森・秋田) 1993年 自然遺産
知床(北海道) 2005年 自然遺産
小笠原諸島(東京) 2011年 自然遺産
奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島 2021年 自然遺産

このように、長い準備期間を経て登録に至った背景には、自然と人の共生に対する真剣な取り組みがありました。

特別な自然の価値を世界に伝えるための節目となった年が、2021年です。

 

英語表記)Amami-Oshima Island, Tokunoshima Island, Northern part of Okinawa Island, and Iriomote Island
登録区分)自然遺産
登録年)2021年
登録基準)(10)
国内の登録順位)No.24

 

夕日を背景に、海に浮かぶ4つの島のシルエットを描いたイラスト

2021年、豊かな自然を誇る奄美大島、徳之島、沖縄島北部、西表島が世界自然遺産に登録されました。その記念すべき時を美しい情景で表現しています。

世界遺産登録理由と「生物多様性」の重要性

この地域が世界自然遺産に選ばれた一番の理由は、高い生物多様性が保たれていることです。つまり、世界的に見ても珍しい生き物が多く、しかもそれらが絶滅せずに生息できる環境が残っているということです。

とくに注目されたのは、ユネスコの登録基準「(10) 生物多様性の本来的保全にとって、もっとも重要かつ意義深い自然生息地を含んでいるもの」という項目です。

この基準に合致する理由として、以下のような点が挙げられます:

  • 多くの固有種(その場所だけにいる動植物)が存在する

  • 進化の過程がわかる独特の生態系が残されている

  • 一部の生物は国際的なレッドリストに載るほどの希少種である

  • 人の影響をあまり受けていない自然環境が保たれている

例えば、西表島には「イリオモテヤマネコ」、沖縄島北部には「ヤンバルクイナ」、奄美大島や徳之島には「アマミノクロウサギ」などがいます。これらはどれも他の地域では見られない動物たちです。

ただし、豊かな自然があるからといって、それだけで世界遺産に登録されるわけではありません。保護体制が不十分であれば、却下されることもあります。

そのため、日本政府や地元自治体は、生態系の保全・観光開発との両立を目指して、長年にわたって取り組んできました。

これらの取り組みが実を結び、2021年の登録につながったのです。

興味がある方は、ユネスコの世界遺産センター公式サイトで、登録基準や詳細な評価結果を確認できます。

つまり、この地域は「失われつつある自然を未来に残すためのかけがえのない場所」として、世界的に高く評価されたというわけです。

緑豊かな森と青い海に、イリオモテヤマネコやヤンバルクイナなど、その地域固有の動物たちが共存している様子のイラスト

世界遺産登録の最大の理由は、この比類なき生物多様性です。地球上でここにしか生息しない貴重な固有種と、それらを育む豊かな自然環境が評価されました。

世界遺産に登録されるまでの流れと経緯

世界遺産に登録されるまでには、いくつもの段階と年単位の時間が必要です。特に自然遺産の場合、登録のハードルは高く、しっかりとした保全体制や国際的な価値の証明が求められます。

奄美大島、徳之島、沖縄島北部、西表島が世界自然遺産に登録されるまでのプロセスは以下のような流れをたどりました。

ステップ 内容
① 国内暫定リストへの掲載(2003年) 世界遺産に推薦するため、まず国の暫定リストに登録されました。
② 推薦準備と環境調査 環境の現状、生物多様性、保護体制について詳細な調査が行われました。
③ 推薦書の提出(2017年) 日本政府がユネスコへ正式に推薦書を提出しました。
④ IUCNによる現地調査 国際自然保護連合(IUCN)が現地を視察し、保護体制などを評価しました。
⑤ 一度は登録延期勧告(2018年) 保護の仕組みに課題があるとされ、一時登録が見送られました。
⑥ 再調整と再提出(2020年) 改善案を踏まえ再度推薦書を提出。評価が好転しました。
⑦ 正式登録(2021年7月) 世界遺産委員会にて正式に登録が決定されました。

この流れからもわかるように、単に自然がすばらしいというだけでは登録されません。保護の姿勢や継続的な取り組みが欠かせないのです。

一方で、これまで開発や観光が進んできた地域も多く、自然との共生をどう進めるかが今後の大きな課題でもあります。

登録されて終わりではなく、そこからがスタートとも言えるでしょう。

この経緯についてさらに詳しく知りたい場合は、環境省が公開している「世界自然遺産(奄美・沖縄)紹介ページ」をご覧ください。

曲がりくねった道が、最終的に山頂で輝く世界的な評価の象徴にたどり着くまでの過程を描いたイラスト

暫定リストへの掲載から登録まで、長い年月と多くの努力がありました。一度は延期勧告を受けながらも、保護体制を強化し、ついに世界が認める自然遺産となりました。

沖縄島北部及び西表島の読み方と表記ルール

初めて聞くとちょっと長くて難しく感じる「沖縄島北部及び西表島」。実際にどう読むのか、どのように書くのが正しいのか、気になる方も多いのではないでしょうか。

まず、それぞれの正式な読み方は以下のとおりです:

表記 読み方
沖縄島北部 おきなわとうほくぶ
西表島 いりおもてじま(または いりおもてしま)

ポイントとして、「沖縄本島北部」と言われることもありますが、正式な世界遺産登録名では「沖縄島北部」と表記されていることに注意しましょう。

「沖縄本島」という言い方は国内向けに使われやすいですが、国際的な場では「沖縄島」という呼び方が用いられています

さらに、「及び」という表現も重要です。これは「AとBの両方を含む」という意味であり、「沖縄島北部と西表島の両地域がセットで評価された」ことを明確にする言葉です。

このような表記の違いに注意しないと、文献検索や世界遺産検定の問題などで混乱することもあります。

また、「西表島」の読み方として「しま」か「じま」かで迷う人もいますが、どちらも正解とされるケースが多いです。ただし、行政上では「いりおもてじま」がやや一般的です。

読み方や表記の理解は、単なる知識ではなく、正確に情報を伝えるためにとても大切なポイントです。観光地名や学術資料など、場面に応じて使い分けるようにしましょう。

 画面を二分割し、左に沖縄島北部の深い森、右に西表島のマングローブの川を描いたイラスト

「沖縄島北部及び西表島」という名称が示す通り、この遺産は複数の地域で構成されています。それぞれの特徴的な景観を並べることで、その関係性を表現しました。

奄美大島と徳之島、沖縄島北部及び西表島の特徴と絶滅危惧種の重要性

奄美大島、徳之島、沖縄島北部、西表島は、それぞれの島が異なる自然環境や生態系を持ち、独自の進化をとげた動植物が多く生息している地域です。
これらの地域では、世界的にも珍しい固有種や絶滅危惧種が多く確認されており、自然遺産として登録される大きな理由となりました。

この章では、各島の自然的な特徴に加えて、なぜ絶滅危惧種の存在が世界遺産にとって重要なのかを丁寧に解説します。
自然の魅力と、そこに暮らす命を守る意義を、やさしい言葉でご紹介していきます。

希少な動植物が息づく「東洋のガラパゴス」。その自然環境と保全の価値を紹介します。

 

ユウ:旅行や歴史に興味を持つ大学生
ユウ:旅行や歴史に興味を持つ大学生

「先生、絶滅危惧種ってニュースでよく聞くけど、実際にどんな動物がいるんですか?」

世界遺産に詳しい博士
世界遺産に詳しい博士

「例えばイリオモテヤマネコやアマミノクロウサギが有名だね。どれもこの地域にしかいない貴重な生き物なんだ。守ることが、世界遺産の大きな意味のひとつでもあるんだよ」

奄美大島と徳之島、沖縄島北部及び西表島の自然の特徴とは?

奄美大島、徳之島、沖縄島北部、西表島は、それぞれの地域に独特の自然環境が広がっており、同じ日本国内でもまるで別世界のような自然に出会うことができます。

この4地域に共通するのは、温暖で湿潤な亜熱帯気候にありながら、地形や降水量、標高、海の影響が異なることで、多様で個性的な自然が育まれている点です。

具体的な特徴を下の表にまとめました:

地域 自然の特徴
奄美大島 国内第2位のマングローブ林を有し、金作原(きんさくばる)原生林など照葉樹林が広がる
徳之島 石灰岩でできたカルスト地形とサンゴ由来の海岸線が特徴。平地も多く耕地が広がる
沖縄島北部 「やんばる」と呼ばれる深い森が広がり、山地から海岸まで変化に富んだ自然が連続している
西表島 面積の約90%が亜熱帯林に覆われ、川や滝、マングローブなど熱帯雨林に近い景観が残る

このように、それぞれの島には異なる自然の「顔」があり、比較的小さな範囲の中に豊かな地形や気候のバリエーションが詰まっているのが大きな魅力です。

また、こうしたバラエティ豊かな自然環境があることで、動植物たちは他の地域と違う進化をとげ、その島だけに生息する“固有種”が誕生するきっかけにもなっています。

つまり、この4地域は単に美しいだけでなく、生態系の多様性という視点から見ても、非常に価値が高い場所だといえるのです。

4つの異なる自然風景(マングローブ林、カルスト地形、照葉樹林、ジャングル)を並べたイラスト

奄美・徳之島・沖縄島北部・西表島。それぞれの島が持つ、マングローブ林やカルスト地形といった多様でユニークな自然の表情。

奄美大島と徳之島、沖縄島北部及び西表島に生息する絶滅危惧種一覧

これらの地域が世界遺産に登録された最も大きな理由のひとつが、「ここでしか見られない希少な生き物たち」が多く暮らしていることです。

特に、環境省や国際自然保護連合(IUCN)が発表するレッドリストに掲載されているような絶滅危惧種が多数確認されていることが、国際的にも高く評価されました。

以下は、主な絶滅危惧種を地域ごとにまとめた表です:

地域 主な絶滅危惧種
奄美大島 アマミノクロウサギ、ルリカケス、ケナガネズミ
徳之島 トクノシマトゲネズミ、リュウキュウコノハズク
沖縄島北部 ヤンバルクイナ、ノグチゲラ、オキナワイシカワガエル
西表島 イリオモテヤマネコ、カンムリワシ、サキシマスオウノキ(植物)

こうした動物たちは、世界中を探してもこの場所にしかいない、非常に貴重な存在です。

特に「イリオモテヤマネコ」や「ヤンバルクイナ」はメディアでも取り上げられることが多く、その存在は地域のシンボルにもなっています。

ただし、これらの生き物たちは、交通事故や外来種の侵入、開発による生息地の減少などの影響で、数を減らしている状況です。

そのため、保護活動も活発に行われており、国や自治体、研究者、そして地元住民が協力しながら、絶滅を防ぐ取り組みが継続的に行われているのです。

このように考えると、世界遺産登録は単なる“称号”ではなく、こうした貴重な命を未来につなぐための重要な一歩だったと言えるでしょう。

緑豊かな森の中に、アマミノクロウサギやヤンバルクイナなどの希少動物たちが描かれたイラスト

この豊かな森には、絶滅の危機に瀕した多くの命が息づいています。アマミノクロウサギやヤンバルクイナなど、守るべき貴重な存在がここにいます。

イリオモテヤマネコ・ヤンバルクイナなどの固有種

奄美大島、徳之島、沖縄島北部、西表島には、その島だけにしかいない貴重な動物=固有種が数多く暮らしています。これらの固有種は、長い年月をかけて島の環境に適応して進化してきた、いわば「自然の奇跡」とも言える存在です。

代表的な固有種を以下にまとめました:

種類 地域 特徴と生態
イリオモテヤマネコ 西表島 世界でも西表島にしか生息しない野生の猫。夜行性で、個体数は100匹以下とも言われる希少種。
ヤンバルクイナ 沖縄島北部(やんばる) 飛べない鳥で、道路に出てくることも多く、交通事故が問題に。鳴き声が特徴的。
アマミノクロウサギ 奄美大島・徳之島 原始的な特徴を持つウサギで「生きた化石」とも。夜に活動し、巣穴で暮らす。
ノグチゲラ 沖縄島北部 日本で唯一、沖縄にだけ生息するキツツキの一種。鳴き声が高く、美しい赤い頭部が特徴。

これらの動物たちは、観察するだけでも非常に貴重な体験になりますが、その反面、人間の生活が近づくことでリスクも高まります。

例えば、ヤンバルクイナは道路によく現れるため、ロードキル(交通事故による死亡)対策として、ドライバー向けの注意喚起看板が設置されている地域もあります。

イリオモテヤマネコも同様で、絶滅の危機を避けるためにスピード制限や生息域の保護が行われています。

このように、固有種の存在は世界遺産としての価値を高める大きな要素であり、その命を守ることが私たちの大切な役目でもあります。

こうした取り組みについては、環境省や各島の自治体が連携して発信しており、環境省の公式サイト など外部の資料でも確認することができます。

緑豊かなジャングルで、イリオモテヤマネコとヤンバルクイナが見つめ合っている様子の詳細なイラスト

「東洋のガラパゴス」を象徴する、イリオモテヤマネコとヤンバルクイナ。この島々で独自の進化を遂げた固有種たちの、生命の物語がここにあります。

亜熱帯照葉樹林が広がる豊かな原生林

これらの4つの地域に共通して見られるのが、亜熱帯照葉樹林(しょうようじゅりん)と呼ばれる、常緑の広葉樹が生い茂る森です。日本では本州の一部を除いて、このような自然はなかなか見ることができません。

照葉樹林とは、葉の表面がツヤツヤしている植物が多い森のことで、湿度が高く温暖な地域に多く見られます。雨が多く、1年中葉を落とさないのが特徴です。

この森林帯には、さまざまな特徴があります:

特徴 内容
年間降水量が非常に多い 一部地域では3000mmを超える雨量があり、豊かな水の循環を支えている
常緑広葉樹が主に占める シイ・カシ・クスなどが代表的な木々で、一年中緑が保たれている
原生林として人の影響が少ない 奥地には人の手がほとんど入っておらず、動植物が自然のまま暮らせる環境が維持されている
植物の多様性が高い 森の中にはシダ類、ラン類、ヒカゲヘゴなど、湿気を好む植物がびっしり生い茂っている

たとえば、奄美大島にある「金作原(きんさくばる)原生林」は、まさにこの照葉樹林の典型例で、ガイドツアーでも人気のスポットです。

このような森は、見た目の美しさだけでなく、生物たちの「すみか」として非常に重要な役割を担っています。雨水を貯え、空気を浄化し、土砂崩れを防ぐといった、いわゆる「森のインフラ」としての働きもあるのです。

ところが、過去には農地開発や伐採などで一部が失われた時期もありました。現在は、こうした貴重な森を守るため、保護区や国立公園としての整備が進められています。

亜熱帯照葉樹林は、自然遺産の「価値の源」であり、地域の生態系を支える柱でもあるという視点で見ると、また違った魅力が見えてくるかもしれません。

木漏れ日が差し込む、広大で緑豊かな亜熱帯照葉樹林の原生林のパノラマビュー

一歩足を踏み入れると、そこは生命力あふれる緑の楽園。シダやヒカゲヘゴが生い茂る亜熱帯照葉樹林の原生林が、訪れる人を太古の世界へと誘います。

奄美・徳之島のカルスト地形と海岸の特徴

奄美大島や徳之島では、独特の地形や海岸線が見られることも自然遺産としての価値を高めています。特に注目されるのが、カルスト地形と呼ばれる石灰岩由来の地形や、サンゴ礁が育んだ美しい海岸の数々です。

カルスト地形とは、雨水などが石灰岩を長い年月かけて溶かすことで生まれる不規則な凹凸や鍾乳洞などが特徴の地形です。徳之島ではこの地形が多く見られ、他の地域ではあまり見られないユニークな景観をつくり出しています。

地域 地形の特徴
奄美大島 海岸部にマングローブ林が広がり、内陸部には標高600m級の山地が連なる
徳之島 カルスト地形が広がり、起伏のある台地状の地形。海岸には岩場やサンゴ礁が広がる

海岸線もまた見どころの一つで、太古のサンゴ礁が隆起してできた断崖や、波の侵食で削られた複雑な海岸線が存在します。特に徳之島の「犬の門蓋(いんのじょうふた)」などはその象徴的なスポットです。

こうした地形は、ただの景観として美しいだけでなく、水の流れや動植物のすみかにも大きく関わっており、自然の中で重要な役割を果たしています。

また、サンゴ礁に囲まれた海岸は、ウミガメの産卵地や、熱帯魚が集まる場所にもなっており、海の生き物たちにとっても貴重な空間となっています。

つまり、奄美大島と徳之島の地形は、目に見える景観美と、目に見えない生態系の両方において高い価値を持っているのです。自然の奥深さを感じさせてくれるスポットが満載の地域といえるでしょう。

奄美・徳之島特有の、ユニークなカルスト地形と断崖絶壁が広がるドラマチックな海岸線の風景

長い年月をかけて雨水が創り上げた、徳之島のカルスト地形。石灰岩が織りなすユニークな景観と、サンゴ礁が育んだ美しい海岸線が広がります。

西表島と沖縄島北部の多様な生態系と気候

西表島と沖縄島北部(やんばる)は、亜熱帯性気候のもと、豊かな自然と生態系が共存する特別なエリアです。どちらも年間を通じて温暖・多湿な気候に恵まれており、そのおかげで多種多様な生物が暮らしています。

まず気候に注目すると、以下のような共通点があります:

地域 年間平均気温 年間降水量(目安) 特徴的な気候要素
西表島 約24℃ 約2,300〜3,000mm 台風の通り道、湿潤で熱帯に近い
沖縄島北部 約23℃ 約2,500mm 冬でも霜が降りず、森が青々と茂る

このような気候条件が、多様な生き物のすみかを支えています。

例えば、西表島ではイリオモテヤマネコをはじめとした希少な哺乳類や、マングローブ林に住む水生生物が多く見られます。

一方、沖縄島北部では、「やんばる」と呼ばれる深い森の中に、ノグチゲラやヤンバルクイナなどの固有種が生息しています。

こうした地域では、森、川、湿地、海がすべてひとつにつながった自然のネットワーク(エコトーン)が形成されています。これにより、生き物たちが自由に移動し、多様な生態系が保たれているのです。

さらに西表島は、日本では数少ない「熱帯雨林気候(Af)」に近い条件を持ち、亜熱帯と熱帯の中間的な環境が独特の自然を作り出している点も特徴的です。

気候と自然の組み合わせによって生まれた豊かな生態系こそが、世界遺産としての高い価値の源となっています。これらの自然環境が守られていることが、地球全体の生物多様性の維持にもつながっているのです。

画面を二分割し、左に湿度の高い西表島のジャングルと川、右に晴れた沖縄島北部の山と森を描いたイラスト

熱帯雨林気候に近い西表島と、深い森が広がる沖縄島北部(やんばる)。多様な気候と地形が、それぞれ異なる豊かな生態系を育んでいます。

世界遺産検定対策!奄美・沖縄の自然遺産クイズ【4択】

奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島について学んだ内容を、世界遺産検定(2〜4級)レベルの問題で復習してみましょう。

旅行だけでなく、検定受験を考えている方にも役立つミニテストです!

【第1問(3級程度)】

奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島が登録された世界遺産の分類はどれ?

A. 文化遺産

B. 複合遺産

C. 自然遺産

D. 暫定遺産

正解:C. 自然遺産

解説: この4地域は、生態系や固有種の重要性が評価され、自然遺産として2021年に登録された。

【第2問(4級程度)】

次のうち「奄美大島・徳之島・沖縄島北部・西表島」に生息する固有種はどれ?

A. オオサンショウウオ

B. イリオモテヤマネコ

C. ニホンカモシカ

D. シロナガスクジラ

正解:B. イリオモテヤマネコ

解説: イリオモテヤマネコは西表島だけに生息する世界的にも珍しい野生の猫。絶滅危惧種に指定されている。

【第3問(2級程度)】

この世界遺産がユネスコ登録された際に重視された「登録基準」は次のうちどれ?

A. (1) 人類の創造的才能を表す傑作

B. (5) 人と自然の伝統的な関係

C. (10) 生物多様性の保全に重要な地域

D. (7) 自然美と美的価値をもつ場所

正解:C. (10) 生物多様性の保全に重要な地域

解説: 多くの固有種や絶滅危惧種が生息することから、「登録基準(10)」に基づいて評価された。

🎯 【診断結果】あなたの世界遺産レベルは?

正解数 レベル 解説
3問正解 🌟 世界遺産マスター級 奄美・沖縄の自然をしっかり理解。検定2級以上を目指せる知識レベル!
2問正解 🐾 好奇心旺盛な世界遺産通 あと一歩で合格ライン。この記事を読み直せばさらに深く学べます!
1問正解 🌱 ビギナー探検家 興味はあるけど知識はこれから。まずは基礎の復習を!
0問正解 🌀 世界遺産の扉はまだ先 大丈夫!興味を持った今が学びのスタートラインです!
ユウ:旅行や歴史に興味を持つ大学生
ユウ:旅行や歴史に興味を持つ大学生

「なるほど、自然って“ただ残ってる”だけじゃダメなんですね。守る努力も必要なんだ」

世界遺産に詳しい博士
世界遺産に詳しい博士

「その通り。世界遺産は“未来に伝える価値があるもの”だからね。自然も文化も、守ってこそ次の世代に手渡せるんだ」

 

まとめ

  • 奄美大島、徳之島、沖縄島北部、西表島は2021年に世界自然遺産に登録

  • 登録されたのはユネスコの自然遺産カテゴリーで、基準は「生物多様性の保全」

  • 国内の自然遺産としては4件目で、登録順位は日本で24番目

  • 登録の背景には長期的な保護活動と地域連携があった

  • 2018年には登録延期を受けたが、保護体制の改善で再推薦された

  • 各島には異なる地形や気候があり、生態系の多様性が高い

  • 奄美大島には金作原原生林、徳之島にはカルスト地形がある

  • 沖縄島北部の「やんばる」には深い照葉樹林が広がる

  • 西表島は面積の90%が亜熱帯林で、熱帯雨林に近い環境が特徴

  • イリオモテヤマネコやヤンバルクイナなど固有の絶滅危惧種が多数生息

  • 固有種はそれぞれの島で独自に進化しており他地域では見られない

  • 登録までには暫定リスト入り、推薦書提出、現地調査などのプロセスがあった

  • 自然遺産は「景観の美しさ」よりも「生態系の保全状況」が重視される

  • 表記は「沖縄島北部及び西表島」となり、「及び」に意味がある

  • 地域固有の生態系は世界的に重要な生物多様性ホットスポットとなっている