チュニス旧市街は、チュニジアの首都チュニスに位置し、アフリカ北部の地中海沿岸で古代から栄えた歴史ある都市の中心地です。中世イスラム文化の香りが漂うこの街は、1979年にユネスコの世界遺産に登録され、今なお多くの観光客を惹きつけています。
なぜこの旧市街が世界遺産に選ばれたのか、どこに位置するのか、その背景には、チュニスの地理的な重要性や歴史的な役割が深く関わっています。
本記事では、チュニス旧市街の特徴やその世界遺産としての価値、アクセス方法について徹底解説していきます。
チュニス旧市街の場所とアクセス方法について理解できる
チュニス旧市街がなぜ世界遺産に登録されたのかが分かる
チュニス旧市街の地理的な重要性と歴史的背景が理解できる
チュニス旧市街の観光スポットや周辺エリアの魅力が分かる
チュニス旧市街が世界遺産に選ばれた理由とは?
サッカーの世界大会で日本代表と勝敗を競い合うチュニジア共和国には、国際都市として古代から発展を続けた街「チュニス旧市街」が世界遺産として登録されています。
チュニス旧市街がなぜ世界遺産に選ばれたのか、その背後には、歴史的な意義と文化的な価値が深く関係しています。中世から続くイスラム文化と、西洋との文化交流が織りなすこの場所の魅力について解説します。
「アキラさん、チュニス旧市街が世界遺産に登録された理由って、どこが特に評価されてるのかしら?」
「それはね、エミ。中世のイスラム文化とヨーロッパ文化がここで交わっている点が大きなポイントなんだ。イスラム建築の傑作が残るだけでなく、歴史的に重要な交流地点でもあるんだよ。」
チュニス旧市街の基本情報
登録区分)文化遺産
登録年)1979年
登録基準)(2),(3),(5)
登録国)チュニジア
登録地域)アフリカ
アフリカ有数の大都市チュニス市には、中世の時代に築かれたイスラム教の宗教施設がたち並ぶ世界遺産チュニス旧市街があります。
メディナと呼ばれる中世の城壁に囲まれた旧市街、近代ヨーロッパ風の新市街が隣り合うチュニス旧市街は、3つの文化遺産の登録基準の評価を受けて、1979年に世界遺産に登録されています。
中でも、アフリカでありながら中東地域と西洋の歴史的建造物が混在する町並みは、「(2) ある期間を通じた文化圏において、人類の価値の重要な交流を示すもの」として高い評価を得ています。
チュニス旧市街の掘り下げ情報の記載
チュニス旧市街は、なぜ「人類の価値の重要な交流を示すもの」として世界遺産に登録されたのでしょうか?
その理由に、チュニジアの地理的な特徴とチュニスの歴史が深く関わっています。
北アフリカのチュニジアの地理
チュニジア共和国北部、チュニス県のチュニス市は面積212.63km2、人口747240人の都市で、近郊を含む都市的地域の人口は235万人と北アフリカ屈指の大都市圏です。
日本国内では、千葉県成田市(213.84km2)や 山梨県甲府市(212.4km2)とほぼ同じ広さで、都市圏の人口は愛知県名古屋市(約233万人)を超える規模です。
地中海沿岸に面したチュニス市街は、市内に茨城県北浦を超える面積のチュニス湖(37km2)と、僅かに小さい塩湖セブカ・セジューミの合間に市街地が広がる独特な地理の街です。
チュニス市は、北アフリカを流れる南北約850kmのメジェルダ川流域に発展した都市の1つで、現在のチュニジア国内には東西約250kmの流域が含まれています。
チュニジア国内を東西にわたって流れるメジェルダ川は、古くからラグーンとして湾口整備が進んでいたチュニス湾から地中海に流れます。
そのため、運河として整備されたチュニス湖は古代ローマ時代から天然の良港として海上輸送の拠点でもありました。
地中海に面したチュニス市は、夏の季節に北大西洋から西ヨーロッパにかけて発達する北大西洋高気圧から乾燥した北風が吹くため乾燥し、冬にはアフリカ大陸北西部に南下した北大西洋高気圧とユーラシア大陸のシベリア高気圧に挟まれた気圧の谷になるため降水量が多くなる地中海性気候にあたります。
チュニジアの年間の平均気温は約18.4℃、夏の6月は約23.2℃、冬の1月は11.5℃と年間を通して温かい地域です。
地中海性気候の地域は、乾燥に強いオリーブやブドウや柑橘類などの栽培が盛んで、冬の期間にまとまった雨が降るため、放牧の畜産が盛んです。
チュニジア経済には小麦とオリーブを中心とた農業、原油とリン鉱石の採掘、農産物と鉱物の加工によって成り立つ工業という三つの柱があるとされています。
食糧自給率は100%を超え、乾燥気候にあったオリーブ(生産量70万トン、世界シェア5位の4.8%)と小麦は周辺国へ輸出され、経済の要になっています。
チュニス建設から現代までの歴史
エジプトや古代ローマに近いチュニジアの歴史は古く、チュニス旧市街が含まれる地域は紀元前に古代フェニキア人によって建設されたとされています。
当時はカルタゴと呼ばれたチュニジアは、紀元前146年から3年間続くポエニ戦争でローマ帝国によって破壊され、再建されるのは東ローマ帝国が勢力を拡大する約400年後の376年のことでした。
7世紀末には、中東地域のイスラム帝国ウマイヤ朝がアフリカ大陸に勢力を広め、701年に占領された頃から、豊かな農業地域でもあり天然の良港チュニス湖が注目され、経済都市としての整備がはじまります。
9世紀初頭にイスラム帝国の第2期の政権アッバース朝に独立が認められ、アグラブ王国としてイスラム帝国の管理の元でザイトゥーナ・モスクをはじめとしたイスラム教の施設の建設が進められます。
中世から近世にかけての16世紀にはオスマン帝国とスペインの勢力争い、近代の世界大戦ではフランスとドイツの支配権争いの中で、
古くからの国際都市であったチュニスは、ますます国際色豊かになってゆきます。
歴史的建造物と中世イスラム文化の融合
チュニス旧市街は、その迷路のような路地と豊富な歴史的建造物で有名です。9世紀に始まった街の発展と、そこに築かれたイスラム文化の中心地としての役割について、建造物の詳細も交えて紹介します。
チュニス旧市街の名所
文化遺産に登録されているチュニス旧市街は、9世紀頃にアグラブ王国によって整備が始まったメディナと呼ばれる旧市街地にモスクや霊廟、イスラム神学校のマドラサなど、700もの建造物で構成されています。
城壁に囲まれた旧市街は、9世紀頃から13世紀まで総面積は3万km2まで建設が広げられました。
大規模なフランス門から旧市街に向かうと、チュニジアで2番目に古いグランド・モスク(別名:オリーブの木のモスク)の四角錐のミナレットがそびえています。
フランス門からグランド・モスクへ向うジャマー・エズ・ジトゥナ通りは、アラブ地域では市場の意味を持つスークと呼ばれる商店街が立ち並び、地元の買い物客から観光客がひしめき、国際都市として栄え続けている歴史が今も残っています。
チュニス旧市街はどこにある?アクセスと地理的な特徴
チュニス旧市街は、チュニジアの首都チュニス市の中心部に位置しています。チュニジアは北アフリカにあり、地中海に面した国で、チュニスはその主要都市です。この旧市街は「メディナ」とも呼ばれ、9世紀から発展してきた歴史的な場所です。
地理的には、チュニス湖のすぐ西側に位置し、北には有名な観光地カルタゴがあります。チュニス旧市街は、中世のイスラム都市として、迷路のような狭い路地や商業エリア「スーク」が特徴的で、観光客を魅了します。
アクセスについては、チュニス国際空港から車で約15〜20分の距離にあり、都市部に近いため非常に訪れやすい場所です。近代的な交通インフラも整備されており、鉄道やバスも利用可能です。
チュニス旧市街の地理的な特徴
- 位置: チュニス市の中心部、チュニス湖の西側
- 面積: 約2.7平方キロメートル
- 特徴: 中世のイスラム文化が残る旧市街、迷路のような路地、歴史的建造物
- 気候: 地中海性気候で、夏は乾燥して暑く、冬は温暖
チュニス旧市街は、中東とヨーロッパの文化が交差する場所として、歴史的にも重要な役割を果たしてきました。地理的に優れた位置にあるため、古代から貿易や文化交流の拠点となっています。特に、地中海に近いことから、海上輸送の要としても機能してきました。
チュニス旧市街への行き方と周辺観光スポット
チュニス旧市街へのアクセスは、チュニス国際空港からの移動が最も便利です。空港から旧市街まではタクシーやバスを使って簡単にアクセスできます。タクシーは比較的安価で、20分ほどで到着します。バスや電車を使う場合も、チュニス市内の主要な交通機関が整備されているため、移動がスムーズです。
アクセス方法一覧
移動手段 | 所要時間 | 料金目安 |
---|---|---|
タクシー | 約15〜20分 | 約10〜15チュニジアディナール (400〜600円) |
バス | 約30分 | 約1〜2チュニジアディナール (50〜100円) |
電車(TGM線) | 約20分 | 約1チュニジアディナール (50円) |
周辺観光スポット
-
カルタゴ遺跡
チュニス旧市街から車で約20分の場所にある、古代ローマ時代の遺跡です。地中海に面したカルタゴは、ローマとカルタゴ戦争で有名な場所で、考古学ファンにはたまらない観光地です。 -
シディ・ブ・サイド
白い建物と青いドアが特徴的な、海沿いの美しい町。旧市街からは電車で30分ほどで訪れることができます。地中海の眺めを楽しみながら散策ができる、ロマンチックなスポットです。 -
バルドー博物館
チュニス旧市街から西に車で10分ほどの場所にある博物館で、世界最大規模のローマ時代のモザイクコレクションを所蔵しています。歴史や美術に興味がある方には、必見の場所です。
チュニス旧市街を訪れる際は、タクシーや電車を使った移動が便利で、周辺の観光地も簡単に訪れることができます。また、観光客向けの案内が整備されているため、迷わずに散策を楽しむことができるでしょう。
世界遺産検定公式過去問集(4級)からの例題
2018年の出題はありませんのでAIで」作成してみました。
問題 1: チュニス旧市街が世界遺産に登録された年はいつですか?
A) 1985年
B) 1979年
C) 1991年
D) 2003年
問題 2: チュニス旧市街の主な特徴として正しいものはどれですか?
A) ローマ帝国の影響を受けたヨーロッパ様式の都市
B) 中世のイスラム文化が残る迷路のような路地とスーク
C) 近代的なビル群が立ち並ぶ商業地区
D) 地中海沿岸のリゾート地
問題 3: チュニス旧市街の象徴的な建物「ザイトゥーナ・モスク」は何世紀に建設されたでしょうか?
A) 5世紀
B) 9世紀
C) 12世紀
D) 15世紀
チュニス旧市街のお話はいかがでしたか?世界遺産の登録が始まった頃の文化遺産ということもあり、ここ数年の世界遺産検定には出題がないようです。
有史以来、同じ文化圏の歴史が続く日本国内で暮らしていると、文化も民族も宗教も異なる人々が同じ歴史を作る街は、とても珍しく映るものです。世界遺産をきっかけに、海外の人々の交流を知ることも大切なのかもしれませんね。
「アキラさん、今日の話を聞いて、ますますチュニス旧市街に行ってみたくなっちゃった!でも、旅行前に何を準備しておけばいいかしら?」
「チュニスはアクセスもいいし、観光地としても整備されてるから安心していいよ。ただし、観光客が少ないエリアでは、特に治安に気をつけたほうがいいね。人気の観光地でも気を抜かずに、安全対策をしっかりして楽しんで。」
チュニス旧市街はなぜ世界遺産に?どこ?特徴と歴史のまとめ
- チュニス旧市街はチュニジアの首都チュニスに位置する
- 1979年にユネスコの世界遺産に登録された
- 中世イスラム文化が色濃く残る歴史的な街である
- メディナと呼ばれる旧市街地に多くの歴史的建造物がある
- 迷路のような狭い路地や商業エリア「スーク」が特徴
- ザイトゥーナ・モスクは9世紀に建設されたイスラム教の重要な建物である
- チュニス湖の西側に位置し、貿易の要所として栄えた
- 地中海に面し、中東とヨーロッパの文化交流の拠点であった
- チュニス国際空港からのアクセスが良好で観光しやすい
- 主要な観光スポットとしてカルタゴ遺跡やバルドー博物館がある
- 地中海性気候で夏は乾燥し冬は温暖な気候である
- 古代フェニキア時代から発展し、歴史的に重要な都市である
- チュニジア国内でも最大規模の都市圏を形成している
- 旧市街は700以上の建造物で構成されている
- 文化的、商業的な交流の場として現在も活気がある