広島県の厳島神社は、その美しい景観と歴史的価値から、毎年多くの観光客が訪れる人気のスポットです。特に注目されるのが、海上に浮かんでいるように見える大鳥居。この鳥居がどのように建てられたのか、そして実際に厳島神社が浮いているのかについては多くの人々が興味を持っています。
本記事では、厳島神社の鳥居の建築方法、観光にかかる所要時間、そしてその他の見どころについて詳しく解説します。歴史と現代の技術が融合したこの神社の魅力を存分にお楽しみください。
厳島神社の歴史的背景と文化的意義
厳島神社の観光所要時間と見どころの効率的な回り方
厳島神社を訪れる際の注意点とおすすめの時間帯
厳島神社は浮いている?鳥居の建築と観光にかかる時間
平安時代の平氏、戦国時代の毛利氏、江戸時代の浅野氏と有力者に治められた広島県は、古くから工業が盛んな地域です。
歴史的な風景建造物も数多く、人の営みが現在に続く広島県には、「原爆ドーム」と「厳島神社」
という2つ遺跡が世界遺産に登録され、世界的な観光地にもなっています。
都市圏がありながら、海と山に囲まれ景観が美しい一帯は、世界から注目されている地域でもあります。
広島県の世界遺産「原爆ドーム」は凄惨な出来事で世界遺産に登録されていますが、広島県にはもう1つ、文化的な理由で登録された世界遺産があります。
それは、海の上に鳥居が佇む広島県廿日市市の厳島神社です。
厳島神社の基本情報
英語表記)Itsukushima Shinto Shrine
登録区分)文化遺産
登録年)1996年
登録基準)(1), (2), (4), (6)
国内の登録順位)No.8
厳島神社の「厳島」は、日本三景の1つ「安芸の宮島」の別名でもあります。
古墳時代の頃から、厳島そのものと島の中央に佇む標高535メートルの沙山は自然崇拝の対象とされてきました。
世界遺産に登録されているのは、本殿(ほんでん)と呼ばれる4棟の社と神社を構成する廻廊東廻廊と廻廊西廻廊の建造物。
さらに五重塔が見どころの豊国神社本殿、厳島神社のシンボル大鳥居を含めた27棟の歴史的建造物、アカマツの原生林が残る沙山が世界遺産に登録されています。
鳥居の建築方法とは?厳島神社の技術的秘密
厳島神社の大鳥居は、その見事な造形と技術的な工夫により、まるで海に浮かんでいるかのように見えます。しかし、その建築方法には多くの技術的な秘密が隠されています。
「ユウさん、厳島神社の大鳥居がまるで海に浮かんでいるように見えるのは、どうしてだと思いますか?」
「博士、それは何か特別な仕掛けがあるからですか?」
「そうですね。実は、大鳥居は地中に深く埋め込まれているのではなく、柱の自重で安定しているんですよ。これにより、満潮時にはまるで浮かんでいるように見えるんです。」
「そうだったんですね。だから、海に浮かんでいるように見えるけど、しっかりと地面に立っているんですね。」
まず、鳥居は地中に深く埋め込まれた柱によって支えられています。 実際には、鳥居の両端には重りとして大きな石が置かれており、これにより鳥居が倒れないように安定させています。この重りの設置は、潮の満ち引きや波の影響を最小限に抑えるための工夫です。
さらに、鳥居の主柱はカシの木で作られており、非常に耐久性が高いことが特徴です。カシの木は腐りにくく、海水にも強いため、長期間にわたってその美しい姿を保つことができます。
また、鳥居の柱は地中に固定されておらず、地面に立てているだけです。これにより、地震や台風などの自然災害時にも柔軟に揺れを吸収し、倒れにくくする構造になっています。この設計により、鳥居は長い年月を経てもその壮麗な姿を保ち続けているのです。
厳島神社の歴史と防災の秘密
厳島神社は、創建から1400年以上の歴史を経ても、当時の姿で人々の拠り所であり続けていま
す。
厳島神社にまつわる歴史と、建造物としての成り立ちには、その秘密が隠されています。
厳島神社は本当に浮いているのか?その真相を探る
厳島神社が「浮いている」と表現されることがありますが、これはどのような意味なのでしょうか?厳島神社が浮いているように見える理由と、その真相について探ってみましょう。
厳島神社の社殿や大鳥居が浮いて見えるのは、満潮時に海水が建物の基礎部分まで満ちてくるためです。 満潮時には、まるで建物全体が水面に浮かんでいるかのように見え、これが「浮いている」と表現される理由です。この独特の景観は、多くの観光客を魅了し、厳島神社の象徴的なイメージとなっています。
しかし、実際には厳島神社の建物はしっかりとした基礎の上に建てられており、海水に浮いているわけではありません。 建物の基礎は堅固な岩盤に固定されており、満潮時に海水が基礎部分に達することで、浮いているように見えるのです。この設計により、建物は安定性を保ちながらも美しい景観を提供しています。
さらに、厳島神社の建物は防災設計が施されています。たとえば、回廊の床板にはわずかな隙間があり、これにより海水が建物内に侵入するのを防ぐとともに、波の力を分散させる役割を果たしています。また、建物全体が適度に柔軟性を持つように設計されており、地震や強風にも耐えられる構造になっています。
これらの工夫により、厳島神社は自然の脅威から守られながら、その美しい姿を保ち続けています。「浮いている」という表現は、厳島神社の独特の景観を表す象徴的な言葉であり、訪れる人々に強い印象を与え続けています。
観光所要時間ガイド:厳島神社の見どころを効率よく回る方法
「博士、厳島神社って広いんですね。限られた時間で効率よく回るにはどうすればいいですか?」
「そうですね、ユウさん。まずは、大鳥居を見逃さないように、潮の時間を確認してから訪れると良いですよ。その後、本殿や高舞台、五重塔など、主要なスポットを押さえましょう。」
「なるほど、それで約2〜3時間あれば、しっかり観光できるんですね。」
厳島神社を訪れる際に、限られた時間で効率よく観光するためには、見どころを事前に把握しておくことが重要です。ここでは、厳島神社の主要な見どころと、それぞれの所要時間についてご紹介します。
まず、厳島神社全体の観光には約2~3時間を見ておくと良いでしょう。 これにより、主要なスポットをゆっくりと見学し、写真を撮る時間も十分に取ることができます。
- 大鳥居(約30分):満潮時に海に浮かぶように見える大鳥居は、厳島神社のシンボルです。写真撮影のベストタイムを狙って訪れましょう。
- 本殿(約30分):平安時代の建築様式を感じながら、ゆっくりと回廊を歩いて見学します。神聖な雰囲気を堪能してください。
- 高舞台(約15分):ここでは舞楽が行われることもあり、舞台からの眺めは絶景です。
- 宝物館(約20分):歴史的な宝物や芸術品を展示しています。神社の歴史を深く知ることができます。
- 五重塔(約20分):厳島神社の敷地内にあり、独特の美しい構造を楽しめます。
これらを効率よく回ることで、厳島神社の魅力を余すところなく楽しむことができます。また、早朝や夕方の時間帯は観光客が少なく、ゆったりと見学することができるため、おすすめです。
厳島神社の歴史と文化的背景:知っておくべきポイント
厳島神社の歴史と文化的背景を理解することで、訪問時の感動がさらに深まることでしょう。以下に、知っておくべき重要なポイントをまとめました。
厳島神社の創建は593年とされ、推古天皇の時代に遡ります。その後、平清盛によって1168年に大規模な拡張工事が行われ、現在の壮麗な姿が完成しました。平清盛はこの神社を厚く信仰し、その後も多くの武将や貴族に崇敬され続けました。
宗像三女神が祭られており、海上交通の守護神とされています。この信仰は、古代から続く海洋国家である日本の歴史と密接に関係しています。
平安時代から続く神仏習合の影響も見逃せません。厳島神社では、仏教と神道が共存し、その文化的融合が建築様式や祭礼に色濃く反映されています。この融合は、明治時代の神仏分離令によって一時的に分離されましたが、その影響は現在も残っています。
世界遺産登録の理由として、厳島神社は以下の4つの基準で評価されています:
- 人類の創造的才能を表現する傑作として:海の上にそそり出た舞台を含め、本殿と東西回廊は平安時代から続く、海の満ち引きも計算し設計された貴重な木造建築とされています。
- 文化圏における重要な交流を示すものとして:厳島神社の建物と美術品は平安時代を築いた平家一族の信仰と芸術性を現代に残すものとされています。
- 歴史上の重要な時代を例証する建築様式として:自然の海や山を建物の境界に取り入れた平安時代の神殿造りが高く評価されています。
- 顕著で普遍的な意義を有する出来事として:日本国内で仏教と神道が混在する神仏習合、その後に建物として分けられる神仏分離令の出来事が残っているとされています。
厳島神社は、海の上に木造建築物が建つという建築物の耐久性や防災の視点で相反する構造をしています。 瀬戸内海は、太平洋や日本海沿岸に比べ波の穏やかな海とされていますが、台風と大潮が重なると高潮の被害は免れません。特に潮位が最大になり台風が上陸する初秋の季節には、建物の一部が海水に浸かってしまうこともあります。しかし、10数年に1度程度大きな被害を受けても、厳島神社は創建以来、建物の全体が倒壊したことも、神様が祀られる本殿内陣が水没したこともありません。
これらの歴史的背景と文化的意義を理解することで、厳島神社を訪れた際の体験がより深いものとなるでしょう。
厳島神社を訪れる際の注意点とおすすめの時間帯
厳島神社を訪れる際には、いくつかの注意点と、訪れるのに最適な時間帯を知っておくことで、より快適で充実した観光を楽しむことができます。
まず、訪問の注意点についてです。厳島神社は人気の観光スポットであるため、混雑する時間帯があります。特に週末や祝日、観光シーズンには多くの観光客が訪れるため、混雑が予想されます。混雑を避けるためには、平日の早朝や夕方に訪れるのがベストです。
また、服装に関する注意点も重要です。厳島神社は神聖な場所であるため、訪問時には過度にカジュアルな服装は避けましょう。特に、社殿や神域内では静かに振る舞い、他の参拝者の迷惑にならないよう心がけてください。
次に、おすすめの時間帯についてです。厳島神社の美しい景観を楽しむためには、満潮時と干潮時の両方を体験することをおすすめします。満潮時には、大鳥居が海に浮かんでいるように見え、非常に幻想的です。一方、干潮時には、大鳥居の近くまで歩いて行くことができ、間近でその壮大さを感じることができます。
早朝の訪問は特におすすめです。観光客が少なく、静かな雰囲気の中で神社を参拝することができます。また、朝の柔らかな光が神社や大鳥居を美しく照らし、写真撮影にも最適です。
夕方もまた別の魅力があります。夕日が沈む時間帯には、大鳥居がオレンジ色に染まり、ロマンチックな雰囲気を楽しむことができます。さらに、夜間にライトアップされることもあり、昼間とは異なる幻想的な姿を見ることができます。
これらのポイントを参考にして、厳島神社の訪問を計画すると、より充実した観光体験ができるでしょう。
厳島神社の歴史
厳島神社の創建は593年とされ、平安時代の1168年に平清盛によって現在の規模に拡張工事
が行われました。
五重塔が建造されたのは、室町時代の1407年、その後明治政府によって神仏分離令が制定され、神道の建造物として統一されます。
祭神は宗像三女神と呼ばれる3柱の女神様で、仏教と神道が混在した神仏習合の時代から、「日本三大弁才天」として祭られることになります。
厳島神社は、建造物そのものの貴重さと文化的な背景から世界遺産の4つの基準で高い評価を受けています。
西回廊は平安時代から続く、海の満ち引きも計算し設計された貴重な木造建築とされています。2.ある期間、文化圏で人類の価値の重要な交流を示すものとして、厳島神社の建物と美術品は
平安時代を築いた平家一族の信仰と芸術性を現代に残すものとされています。4.人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式では、自然の海や山を建物の境界に取り入れ
られた平安時代の神殿造りが高く評価されています。6.顕著で普遍的な意義を有する出来事としては、日本国内で仏教と神道が混在する神仏習合、
その後に建物として分けられる神仏分離令の出来事が残っているとされています。
独特な海上建造物の工夫
厳島神社は、海の上に木造建築物が建つという建築物の耐久性や防災の視点では相反する構造をしています。
瀬戸内海は、太平洋や日本海沿岸に比べ波の穏やかな海とされていますが、台風と大潮が重なると高潮の被害は免れません。
特に潮位が最大になり台風が上陸する初秋の季節には、建物の一部が海水に浸かってしまうこともあります。
10数年に1度程度大きな被害を受けても、厳島神社は創建以来、建物の全体が倒壊したことも、神様が祀られる本殿内陣が水没したこともないとされています。
理由は、立地と構造にあるとされています。
厳島神社は、海に浮いているように見えるため、砂浜の上に直接建物が作られたように見えます。
実は、磯のような岩盤の上に基礎工事が行われていることが明らかになっています。
建物の構造にも、細かな工夫がされています。
水に浸かりやすい海岸の廊下は、床板に僅かな隙間が空けられ、水の圧力を逃がす作りになっています。
また、建物全体は基礎の上に柱が建てられ、浮き上がるよう建てられています。
安定した岩盤の上に基礎工事がされているための、波の侵食で建物が沈むことなく、高潮や高波をいなすような構造が、大規模な倒壊や水没を防ぐ厳島神社の秘密ということになります。
参照公式サイト:厳島神社公式サイト
世界遺産検定公式過去問集(4級)からの例題
Q1.「厳島神社」に関する次の文中の語句の中で、正しくないものはどれでしょうか。
「厳島神社」の社殿は
(1)瀬戸内海の海上にあります。(2)平清盛の篤い信仰を受けた神社として知られ、社殿とともに前面の海や背後の(3)宮ケ浦岳も世界遺産に登録されています。(4)台風や高潮などの被害を受けやすいことから、社殿にはさまざまな工夫がこらされています1. 瀬戸内海
2. 平清盛
3. 宮ケ浦岳
4. 台風や高潮などの被害引用元: 世界遺産検定公式過去問集(p84,2018年7月世界遺産検定4級)
Q2.「厳島神社」はしばしばどのような被害を受けることがあるでしょうか。
1. 社殿が台風や高潮による被害を受ける
2. 社殿背後の弥山で山火事が発生する
3. 地震により社殿が何度か崩壊したことがある
4. 海岸沿いの砂によって、社殿が埋もれてしまう引用元: 世界遺産検定公式過去問集(p90,2018年9月世界遺産検定4級)
Q3.「厳島神社」の背後にある、古くからご神体としてまつられた山はどれでしょうか。
1. 高野山
2. 二荒山
3. 比叡山
4. 弥山引用元: 世界遺産検定公式過去問集(p106,2018年12月世界遺産検定4級)
広島県の世界遺産「厳島神社」は、世界的にも珍しい海上の木造建築物として多くの観光客に注
目されています。
世界遺産として、4つの基準で高い評価を受け、木造建築としての設計と信仰の成り立ちを現代
に残す貴重な遺跡とされています。
世界遺産検定では、歴史とともに建物に施された細かな工夫も出題されており、設計と信仰の両
方を知っておきたいですよね。
「博士、厳島神社の話を聞いて、ますます行ってみたくなりました。これで、満潮時と干潮時の両方を楽しめるんですね。」
「その通りです、ユウさん。訪れる時間帯や潮の状態によって、全く異なる風景を楽しむことができるのが厳島神社の魅力です。」
「次は早朝に訪れて、静かな厳島神社を堪能したいです!」
厳島神社は浮いている?鳥居の建築と観光にかかる時間のまとめ
- 厳島神社は広島県廿日市市にある
- 大鳥居が海上に浮かんで見えることで有名
- 厳島神社は593年に創建された
- 平清盛が1168年に大規模な拡張工事を行った
- 世界遺産に登録されたのは1996年
- 鳥居はカシの木で作られている
- 鳥居の柱は地中に固定されていない
- 満潮時に大鳥居が海に浮かんで見える
- 建物の基礎は堅固な岩盤に固定されている
- 回廊の床板には隙間があり、波の力を分散させる
- 観光所要時間は約2~3時間
- 大鳥居、本殿、高舞台、宝物館、五重塔が見どころ
- 平日の早朝や夕方の訪問がおすすめ
- 神聖な場所のため、過度にカジュアルな服装は避ける
- 公式サイトは「http://www.itsukushimajinja.jp」