日光東照宮は、徳川家康公を祀る神社であり、その歴史的・文化的価値から1999年に世界遺産に登録されました。この神社は、日本の建築美と装飾芸術の粋を集めた場所として知られ、その壮麗な彫刻や建造物は訪れる人々を魅了し続けています。また、近年の大河ドラマ『どうする家康』により、徳川家康公への関心が再燃し、多くの観光客が訪れる人気のスポットとなっています。
本記事では、日光東照宮に関する以下のポイントについて詳しく解説します。日光東照宮に祀られている人物、正しい参拝方法、混雑する時期とその対策、混雑する時間帯とその対策、そしてパワースポットの紹介を通して、訪れる際の参考にしていただければ幸いです。
日光東照宮の主要な見どころとそれらの文化的意義
日光東照宮の適切な参拝方法と参拝時のマナー
日光東照宮の混雑期と混雑回避のための最適な訪問時間
歴史的な価値と美しさを併せ持つ日光東照宮の建築美と装飾芸術
大河ドラマ『どうする家康』で注目が高まる偉人 徳川家康。
戦国時代を終わらせ、安定した政権を築いたことで日本の発展の基礎を作った重要人物の1人です。
徳川家康には、神様の名前でもある「東照大権現」という神号、仏様の世界の名前の「東照大権現安国院殿徳蓮社崇譽(誉)道和大居士」という聞き慣れない名前があります。
今回は、仏様や神様の地位のある方を呼び捨てにするのは失礼に当たるため「家康公」と書かせていただきます。
難しい名前は覚えることはできなくても、「東照」という名前から「日光東照宮」は思いつくことでしょう。
「日光東照宮」は、家康公の東照に深い関わりのある世界遺産なんです。
登録区分)文化遺産
登録年)1999年
登録基準)(1),(4),(6)
国内の登録順位)No.10
「日光の社寺」は、栃木県日光市の大規模なお寺と神社一帯が文化遺産として登録されています。
宗教施設は日本国内でも海外でも、国や地域によって保存されやすい遺跡とされています。
日本国内でも、「No.1法隆寺地域の仏教建造物」「No.5古都京都の文化財(京都市、宇治市、大津市)」「No.8厳島神社」「No.9古都奈良の文化財」に続いて文化遺産に登録された「日光の社寺」は、現代日本にもつながる歴史的な背景がある貴重な遺跡です。
日光の社寺と東照宮に関する歴史と秘密
「日光の社寺」の中でも日光東照宮は、江戸時代を築いた初代将軍徳川家康公を祭る神社です。
「博士、日光東照宮ってやっぱり徳川家康公が祀られているんですよね?彼の歴史的背景ってどんな感じなんでしょう?」
「そうだね、ユウ。家康公は、戦国時代を終わらせ、江戸幕府を開いて日本に平和をもたらした非常に重要な人物だ。彼が祀られている日光東照宮は、その功績を称えて建てられたんだよ。」
日光の社寺と東照宮の歴史
日光東照宮は、家康公が亡くなった翌年の1617年に2代将軍徳川秀忠によって創建されました。
創建に関する宗教的な取り決めは天海僧正が携わり、建築には戦国時代の城作りの実績がある藤堂高虎が主導したとされています。
1636年、3代将軍徳川家光の時代に「寛永の大造替」と呼ばれる大改装が行われ、建物全体が「三猿の彫刻」を含む彫刻と漆塗りや金箔で彩られ、きらびやかな正門「日暮御門(陽明門)」が完成します。
動物、人間、自然、そして神々や幻想の生き物が描かれた「日暮御門(陽明門)」の彫刻は、文化遺産の登録基準「1.人類の創造的才能を表現する傑作」として高い芸術的価値があるとされています。
また、仏教など海外発祥の文化と日本古来のの風習が融合した神仏習合を表す建築物は、登録基準「4.人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式」として世界遺産に選ばれる大きな理由になっています。
日光の社寺の数は?
日光の社寺とあるように、神社は「日光東照宮」「日光二荒山神社」、お寺は「日光山輪王」が登録されています。
3つの寺社仏閣を合わせて二社一寺(にしゃいちじ)と呼ばれることもあり、国宝9棟、重要文化財94棟と周囲の景観が文化遺産として登録されています。
家康公は神様?仏様?
家康公は、日本全国を統治下に治めた政府を築いた功績から、死後に神君(しんくん)と呼ばれ神格化されます。
神様としての名前「東照大権現」は、東照と大権現という名前が合わさった神号です。
「東照」は東照神君の略で、混乱した日本を国家として統一した家康公の功績を表しています。
「大権現」は、仏教の仏様や菩薩様が日本の神様の姿を借りて現れた際の神号で、日本古来の神道と大陸由来の仏教が混ざり合った神仏習合の信仰の1つとされています。
詳しくは、家康公の解説サイトや専門の書籍に細かく記載がありますが、「東照大権現」には「仏様や菩薩様が日本の姿を借りて徳川家康として現れ、偉大な功績を残した」という意味があるとされています。
本来の姿とされる仏様が薬師如来というのも、医薬に精通した家康公の一面を表しています。
日光東照宮に祀られている人物について
日光東照宮は、日本の歴史において重要な人物である徳川家康公を祀る神社です。家康公は、戦国時代を終わらせ、江戸幕府を開き、日本に約250年の平和をもたらしました。彼の業績は、日本の歴史において極めて重要であり、その功績を称えて神として祀られています。
家康公の神号は「東照大権現」であり、これは彼の偉大な功績と神格化された姿を表しています。この神号は、仏教と神道が融合した神仏習合の思想を反映しており、日本の宗教文化の独特な側面を示しています。また、家康公の本来の姿とされる仏様が薬師如来であることも、彼が医薬に精通していたことを示しています。
日光東照宮は、家康公が亡くなった翌年の1617年に創建され、3代将軍徳川家光による大改修を経て現在の華麗な姿になりました。陽明門や三猿の彫刻など、見事な彫刻や装飾が施された建物群は、訪れる人々を魅了し続けています。
日光東照宮の正しい参拝方法
日光東照宮を訪れる際には、正しい参拝方法を知っておくことが重要です。参拝は、日本の伝統的な宗教儀礼の一環であり、心を込めて行うことで神様への敬意を示すことができます。
「博士、参拝の作法って結構細かいんですね。間違えたら失礼になっちゃいますか?」
「そうだね、ユウ。参拝は神様への敬意を表す行為だから、正しい作法を守ることが大切なんだ。特に日光東照宮のような重要な場所では、参拝者が多いからこそ、しっかりとした作法を心がけるといいよ。」
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鳥居をくぐる前に一礼
神社の入り口にある鳥居をくぐる前に、一礼してから進みます。これは、神域に入る前に神様に敬意を表するためです。 -
手水舎で身を清める
手水舎(てみずしゃ)で手と口を清めます。まず、右手に柄杓を持ち、左手を洗い、次に左手に持ち替えて右手を洗います。再び右手に持ち替えて左手に水を受け、口をすすぎます。最後にもう一度左手を洗い、柄杓の柄を洗い流します。 -
参道の真ん中を避けて歩く
参道の真ん中は神様の通り道とされていますので、真ん中を避けて歩きましょう。 -
拝殿での参拝
拝殿に到着したら、まず軽く一礼をしてから賽銭箱にお賽銭を入れます。次に、二礼二拍手一礼の作法に従って参拝します。深く二回礼をし、二回手を叩いて祈りを捧げ、最後にもう一度深く礼をします。
これらの作法を守って参拝することで、日光東照宮での訪問がより深い意味を持つものとなるでしょう。
日光東照宮の混雑する時期と回避策
日光東照宮は、四季を通じて美しい景色を提供するため、多くの観光客が訪れる人気の観光地です。特に桜が咲く春や紅葉の秋は、その美しさが際立ちますが、これらの時期は観光客で非常に混雑します。また、ゴールデンウィークやお盆、年末年始も多くの人々が参拝に訪れるため、混雑が予想されます。
回避策としては、早朝や平日の訪問がおすすめです。早朝は特に参拝者が少なく、ゆっくりと散策や参拝ができるため、より静かで落ち着いた雰囲気の中で日光東照宮を楽しむことができます。また、休日を避けて平日に訪れることで、人混みを避けることが可能です。
日光東照宮の混雑する時間帯と対策
日光東照宮は、一日の中でも午前中が特に混雑する時間帯です。特に週末や祝日の午前中は、多くの観光バスが到着するため、参拝客でごった返します。午後にかけては少しずつ人が減り始めるため、午後の訪問が比較的混雑を避けることができます。
対策として、午後遅くに訪れることをおすすめします。特に日没時の風景は格別で、少ない人出の中で日光東照宮の美しい建築と自然を堪能することができます。また、参拝後の時間を有効活用して、近隣のカフェやレストランで遅いランチを楽しむのも良いでしょう。
日光東照宮の見どころとパワースポット紹介
日光東照宮は、その壮大な建築美と精緻な装飾で知られ、数多くの見どころがあります。特に注目すべきは、以下のスポットです。
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陽明門(日暮門)
陽明門は、日光東照宮の象徴的存在であり、国宝にも指定されています。豪華な彫刻が施されたこの門は、昼夜を問わず見る者を魅了します。特に「八方睨みの龍」の彫刻は、見る角度によって表情が変わると言われ、訪れる人々を楽しませています。
2.三猿の彫刻
「見ざる、言わざる、聞かざる」で知られる三猿の彫刻は、世界的にも有名です。これらの彫刻は、人々に悪徳から身を守ることの重要性を説いています。神厩舎(しんきゅうしゃ)の一部として設置されており、多くの観光客がこのユニークなアートワークを見るために訪れます。
3.眠り猫
左甚五郎によって彫られたとされる眠り猫は、その愛らしい姿で多くの訪問者の心を和ませます。この彫刻は東照宮の平和と安定を象徴しており、猫が目を閉じている様子から「何も悪いことは見ず、平和に眠る」というメッセージが込められています。
4.御本社と奥宮
日光東照宮の中心とも言える御本社は、家康公を祭神としており、深い敬意を表して多くの人々が参拝します。さらに、山の奥深くに位置する奥宮は、家康公の最終的な安置所であり、自然に囲まれた静寂な環境が魅力です。ここは特にパワースポットとして知られ、多くの参拝者が心身の浄化を求めて訪れます。
これらの見どころを巡ることで、日光東照宮の歴史的および文化的価値を深く理解することができます。それぞれのスポットが持つ物語性と美しさに触れながら、心穏やかな時間を過ごすことができるでしょう。
参考サイト:日光東照宮の公式サイト
世界遺産検定公式過去問集(4級)からの例題
Q1.「日光の社寺」の東照宮で徳川幕府3代将軍家光が行った、建築技術の粋を集めた大改修は何と呼ばれているでしょうか。
1.江戸の大改修
2.天海の大改修
3.幕末の大造替
4.寛永の大造替引用元: 世界遺産検定公式過去問集(2018年3月,p68,世界遺産検定4級)
Q2.徳川家ゆかりの「日光の社寺」に関し、「東照宮」の説明として、正しいものはどれでしょうか。
1.3代将軍家光によって「寛永の大造替」が行われた
2.大改修が行われた際に、装飾をなくして質素な造りとした
3.室町時代に創建された
4.本殿前には南大門が建っている引用元: 世界遺産検定公式過去問集(2018年7月,p79,世界遺産検定4級)
解説:「日光東照宮」は、徳川家康を祀るために建てられた神社で、江戸時代初期の寛永年間(1624年~1644年)に3代将軍家光によって大規模な改修「寛永の大造替」が行われました。この改修により、東照宮は華麗な装飾と豪華な造りで知られるようになりました。その他の選択肢は誤りです。
Q3.次の中で「日光の社寺」に含まれないものはどれでしょうか。
1.ゴトビキ岩(神倉神社)
2.輪王寺
3.陽明門
4.三猿の彫刻引用元: 世界遺産検定公式過去問集(2018年9月,p88,世界遺産検定4級)
Q4.「日光の社寺」などで見られる、日本古来の神道と大陸由来の仏教が混ざり合った信仰形態は何でしょうか。
1.原始仏教
2.一神教崇拝
3.神仏習合
4.神仙思想引用元: 世界遺産検定公式過去問集(2018年12月,p99,世界遺産検定4級)
「日光の社寺」の自然にまつわるお話はいかがでしたか?世界遺産検定過去問は、歴史的な用語も多く、少々難しかったのではないでしょうか?
戦乱が耐えなかった戦国時代から、徳川幕府による新しい時代に変わった江戸時代初期は日本全体が落ち着きを取り戻した時代でもあります。
宗教の信仰は個人の自由とされていますが、当時は海外の宗教とされた仏教の考え方を、身近な神道に置き換える日本的な神仏習合の信仰は、1つの文化として世界から評価を受けている。
大河ドラマ『どうする家康』で徳川家康公を演じられる松本潤さんが訪れたことで、改めて注目される「日光の社寺」。
芸術的な美しさと創建された背景、歴史的な思想を知ってから訪れることで、楽しみ方が深くなるのではないでしょうか?
「博士、やっぱり混雑は避けたいですよね。午後遅くに行くのがベストですか?」
「そうだね、朝早い時間や午後遅くは比較的静かだから、ゆっくりと東照宮を楽しむには良い時間帯だ。特に夕方の景色はとても美しいから、ぜひその時間帯を狙ってみてほしい。」
日光東照宮祀られている人・参拝方法と混雑時間帯・混雑時期のまとめ
- 日光東照宮は栃木県日光市に位置する
- 徳川家康公を祀ることで知られる
- 1999年に世界遺産に登録された
- 建築美と装飾芸術の粋が集められている
- 大河ドラマ『どうする家康』で注目が高まった
- 徳川家康の神号は「東照大権現」である
- 陽明門は日光東照宮の象徴的な門である
- 「見ざる、言わざる、聞かざる」の三猿の彫刻が有名
- 眠り猫の彫刻は訪問者に人気
- 日光東照宮の正しい参拝方法が存在する
- 早朝や平日の訪問が混雑を避ける方法とされる
- 春と秋は特に多くの観光客が訪れる
- 奥宮は家康公の最終的な安置所とされる
- 日光東照宮は二社一寺(にしゃいちじ)と呼ばれる
- 国宝9棟、重要文化財94棟が登録されている