日本の世界遺産の中でも、広大な地域が登録されている東北地方と北海道は、自然と歴史の宝庫です。白神山地や知床のような大自然の遺産に加え、平安時代の寺院が残る平泉や、4つの県に点在する縄文遺跡群が登録されています。
この記事では、東北と北海道の世界遺産ランキングと共に、世界遺産検定の例題を紹介します。
白神山地と知床の自然遺産の特徴と登録基準について理解できる
平泉と北海道・北東北の縄文遺跡群の文化遺産としての価値を理解できる
世界遺産検定の例題を通じて知識を深めることができる
東北と北海道の世界遺産ランキング:広大な自然と歴史的遺産
「先生、東北や北海道には、どんな世界遺産があるんですか?やっぱり自然が中心ですか?」
「そうだね、ユウ。東北と北海道には、自然遺産だけでなく、歴史的にも重要な文化遺産がたくさんあるんだ。それぞれの地域の魅力を見ていこう。」
東北と北海道は、日本国内でも開拓されてからの歴史が新しいこともあり、自然豊かな地域が多く残されています。
ここでは、東北と北海道の広大な自然遺産と歴史的な文化遺産をランキング形式で紹介します。
東北と北海道の広大な世界遺産
東北と北海道には、自然遺産と文化遺産がそれぞれ2つずつ登録されています。また、これらの遺産は、広大な大自然とスケールの大きな建築物や遺跡が特徴です。
東北と北海道には、自然遺産と文化遺産がそれぞれ2つずつ登録されています。
白神山地は、映画の世界に登場しそうなほど幻想的な風景が広がる自然遺産です。東北地方の青森県から秋田県にまたがるこの地域には、世界最大のブナの森が広がっています。
世界遺産として、評価されるはるか前から、地域で暮らす人を養い、敬われている自然。
1993年、貴重な動植物の生態系は「9.陸上、淡水、沿岸および海洋生態系と動植物群集の進化と発達において重要な生物学的プロセスを示す顕著な見本であるもの」として屋久島とともに日本初の自然遺産として登録されました。
白神山地全体の面積は2400,000km2(240000ha)とされていますが、自然遺産に登録されているのは169.71km2(16.971ha)とブナの森の一帯に限られています。
2. 知床:広大な自然と豊かな生態系
登録区分:自然遺産
登録年:2005年
登録基準:(9),(10)
国内の登録順位:No.13
面積:711,000km²(71,100 ha)
知床は、2005年に登録された広大な自然遺産です。
自然遺産に登録されている面積は非常に広く、知床半島全体とその周辺の海域が含まれています。多様な生態系と自然環境が保護されており、訪れる人々に圧倒的なスケールの自然を体験させてくれます。
自然遺産に登録されている面積は、小笠原諸島の79390km2(7,939 ha)のおよそ10倍、711,000km2(71,100 ha)です。
知床半島の面積が1,230 km2と発表されているため、間違いでは?と思ってしまいます。
理由は、自然遺産登録の対象が知床半島全体と付近の海域にまで及んでいるためです。
日本国内では、他の自然遺産に比べて圧倒的な規模の地域の自然が登録されたスケールの大きな世界遺産です。
3. 平泉:仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群
登録区分:文化遺産
登録年:2011年
登録基準:(2), (6)
国内の登録順位:No.16
面積:1760km²(176 ha)
「平泉って、どんな場所なんですか?京都や奈良の仏教建築とどう違うんですか?」
「平泉は、平安時代に栄えた奥州藤原氏が築いた場所で、京都や奈良とは異なる独自の仏教文化が発展したんだよ。仏教の浄土を表現した建築や庭園が見どころなんだ。」
平泉は、平安時代の豪族奥州藤原氏が築いた文化遺産です。中尊寺やその周辺の仏教建築物、庭園が多く残されており、仏教の浄土を再現した庭園跡地もあります。また、これらの遺産は、平安時代から鎌倉時代にかけての仏教文化の交流を示しています
東北地方は文化遺産も大規模です。平安時代の豪族奥州藤原氏が築いた中尊寺、平安時代から鎌倉時代にかけて整備された仏教建築物、浄土の風景を再現した庭園跡地の多くが文化遺産として登録されています。
国宝にも指定されている中尊寺金色堂は、1124年に奥州藤原氏の藤原清衡によって築かれました。平安時代から鎌倉時代にかけて、仏教の中心は京都府や奈良県などの近畿地方でした。
京都府で流行している文化を忠実に再現し、さらに地域の風習に合わせて変化させた点は「2.ある期間、文化圏で人類の価値の重要な交流を示すもの」として高く評価されています。
庭園跡地や複数の寺院が登録されているため、面積は1760km2(176 ha)と文化遺産の中でも大規模です。
4. 北海道・北東北の縄文遺跡群:縄文時代の文化圏
登録区分:文化遺産
登録年:2021年
登録基準:(3), (5)
国内の登録順位:No.25
面積:1419km²(141.9 ha)
北海道・北東北の縄文遺跡群は、2021年に登録されたばかりの文化遺産です。
青森県を中心に、南は秋田県と岩手県、北は北海道にまで点在する縄文時代の遺跡群で、有名な三内丸山遺跡をはじめ、多くの考古学的遺跡が登録されています。また、これらの遺跡は、縄文時代の文化圏が海を越えて広がっていたことを示しています。
登録されている地域が4つの県に点在するため、面積は1419km2(141.9 ha)ととても広いことがわかります。
2021年に登録されたばかりで、現存しない考古学的な遺跡のみで文化遺産として登録されるのは日本初のため、とても注目されています。
東北と北海道の世界遺産ランキングと見どころスポット
東北と北海道の世界遺産を訪れる際に、周辺のおすすめ観光スポットやアクティビティを紹介します。これらのスポットは、世界遺産と合わせて訪れることで、旅の魅力がさらに広がります。
1. 東北の世界遺産とおすすめ観光スポットTOP5
東北地方には、豊かな自然環境と歴史的価値を持つ世界遺産が数多く存在する。以下に、東北地方の世界遺産とおすすめ観光スポットをランキング形式で紹介する。
1.1 白神山地
白神山地は、1993年に自然遺産として登録された。青森県から秋田県にまたがる広大なブナの森は、世界最大規模であり、豊かな生態系を誇る。白神山地全体の面積は240,000haだが、自然遺産として登録されているのは169.71km²(16,971ha)である。幻想的な風景と貴重な動植物が魅力であり、多くの観光客が訪れる。
1.2 平泉 – 仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群
平泉は、平安時代の豪族奥州藤原氏が築いた仏教建築物や庭園が多く残る文化遺産である。中尊寺金色堂をはじめ、平安時代から鎌倉時代にかけての仏教文化を示す遺産が多く登録されている。2011年に文化遺産として登録され、庭園跡地や複数の寺院が176haの広さを誇る。
1.3 北海道・北東北の縄文遺跡群
北海道・北東北の縄文遺跡群は、2021年に文化遺産として登録された。青森県、秋田県、岩手県、北海道にまたがる縄文時代の遺跡群で、総面積は141.9haである。有名な三内丸山遺跡をはじめ、多くの遺跡が登録されており、縄文時代の文化圏が海を越えて広がっていたことを示している。
1.4 橋野鉄鉱山
橋野鉄鉱山は、岩手県釜石市に位置する19世紀の鉄産業の遺産である。日本最古の洋式高炉跡が残り、当時の鉄産業について学ぶことができる。橋野鉄鉱山は、2015年に世界文化遺産として登録され、その歴史的価値が評価されている。
1.5 御所野縄文公園
御所野縄文公園は、岩手県一戸町にある縄文時代中後期の集落遺跡である。復元された集落跡地では、縄文時代の生活を体験することができる。令和3年に世界遺産「北海道・東北の縄文遺跡群」として登録され、その歴史的価値が高く評価されている。
2. 北海道の世界遺産ランキングTOP5
北海道は、広大な自然環境と歴史的価値を持つ文化遺産が豊富である。以下に、北海道の世界遺産をランキング形式で紹介する。
2.1 知床
知床は、2005年に自然遺産として登録された。知床半島全体とその周辺の海域が含まれ、面積は711,000ha(71,100ha)である。知床の特徴は、季節海氷域と豊かな生態系であり、自然の壮大さを体感できる場所として人気が高い。
2.2 北海道・北東北の縄文遺跡群
北海道・北東北の縄文遺跡群は、2021年に文化遺産として登録された。青森県、秋田県、岩手県、北海道にまたがる縄文時代の遺跡群で、総面積は141.9haである。有名な三内丸山遺跡をはじめ、多くの遺跡が登録されており、縄文時代の文化圏が海を越えて広がっていたことを示している。
2.3 富良野・美瑛の丘
富良野・美瑛の丘は、北海道の美しい自然景観を代表する地域である。広大なラベンダー畑や四季折々の風景が魅力で、多くの観光客が訪れる。特に夏のラベンダーシーズンは絶景が広がり、人気の観光スポットとなっている。
2.4 摩周湖
摩周湖は、世界でも有数の透明度を誇る湖で、神秘的な風景が広がる。湖を囲む山々と澄んだ水が特徴で、多くの自然愛好者が訪れる。冬には氷結する湖面も見どころの一つである。
2.5 釧路湿原
釧路湿原は、日本最大の湿原であり、多様な動植物が生息する自然の宝庫である。特にタンチョウ(鶴)の生息地として有名で、湿原の景観と共に貴重な自然環境が保護されている。
白神山地周辺のおすすめスポット
十二湖
白神山地の近くに位置する十二湖は、透明度の高い湖が点在し、特に「青池」が有名で、その美しい青色の水は訪れる価値があります。
弘前城
青森県弘前市にある弘前城は、桜の名所として知られており、春には満開の桜と城のコントラストが絶景を生み出します。
知床周辺のおすすめスポット
-
羅臼温泉
知床半島の羅臼町にある羅臼温泉は、自然に囲まれた露天風呂でリラックスできます。冬には雪景色を楽しみながらの温泉が特に人気です。 -
知床五湖
知床半島に点在する5つの湖で、それぞれ異なる景観を楽しむことができます。散策路が整備されており、自然観察にも最適です。
平泉周辺のおすすめスポット
-
毛越寺
平泉にある毛越寺は、浄土庭園と呼ばれる美しい庭園が特徴で、四季折々の景色を楽しむことができます。
-
猊鼻渓
岩手県一関市にある猊鼻渓は、船下りを楽しめる景勝地で、美しい渓谷と清流の風景が広がります。
北海道・北東北の縄文遺跡群周辺のおすすめスポット
-
三内丸山遺跡
青森市にある三内丸山遺跡は、縄文時代の大規模な集落遺跡で、復元された住居や展示物を通じて縄文時代の生活を学べます。 -
奥入瀬渓流
青森県十和田市の奥入瀬渓流は、四季折々の美しい景色と清流が魅力で、特に紅葉の季節には多くの観光客が訪れます。
これらのスポットを訪れることで、世界遺産とその周辺地域の魅力を存分に楽しむことができます。
東北と北海道の世界遺産へのアクセス方法
各世界遺産へのアクセス方法や交通手段を詳しく説明します。訪問計画を立てる際の参考にしてください。
白神山地へのアクセス
- 電車とバス:JR五能線の「十二湖駅」または「鯵ヶ沢駅」からバスでアクセス可能です。
- 車:青森県側からは国道101号線を利用し、秋田県側からは国道7号線を利用します。
知床へのアクセス
- 電車とバス:JR釧網本線の「知床斜里駅」からバスで「ウトロ温泉」や「羅臼」方面に向かいます。
- 車:北海道斜里町から国道334号線を利用してアクセスします。
平泉へのアクセス
- 電車:JR東北本線の「平泉駅」から徒歩やタクシーでアクセス可能です。
- 車:東北自動車道「平泉前沢IC」から約5分の距離にあります。
北海道・北東北の縄文遺跡群へのアクセス
- 電車とバス:青森市の三内丸山遺跡へは、JR奥羽本線の「新青森駅」からバスで約30分です。
- 車:青森自動車道「青森IC」から約20分でアクセス可能です。
これらの交通手段を利用して、効率的に世界遺産を訪れることができます。
東北と北海道の世界遺産周辺の宿泊情報
世界遺産周辺の宿泊施設や宿泊先の選び方について紹介します。快適な宿泊を通じて、世界遺産巡りをより充実させましょう。
白神山地周辺の宿泊施設
- 鯵ヶ沢温泉:温泉旅館が多数あり、白神山地観光の拠点として便利です。
- 十二湖温泉:十二湖に近く、自然を満喫できる宿泊施設が揃っています。
知床周辺の宿泊施設
- ウトロ温泉:知床観光の中心地で、ホテルや旅館が豊富にあります。
- 羅臼温泉:羅臼側の温泉宿泊施設で、自然に囲まれたリラックスした滞在が楽しめます。
平泉周辺の宿泊施設
- 平泉温泉郷:平泉観光に便利な温泉宿泊施設が多く、観光後のリラックスに最適です。
- 一関市内のホテル:アクセスが良く、観光やビジネスに便利なホテルが多数あります。
北海道・北東北の縄文遺跡群周辺の宿泊施設
- 青森市内のホテル:三内丸山遺跡へのアクセスが便利で、ビジネスホテルから高級ホテルまで揃っています。
- 十和田湖温泉郷:奥入瀬渓流や十和田湖観光に便利な温泉宿泊施設があります。
これらの宿泊施設を利用して、快適な滞在を楽しんでください。
世界遺産検定の例題
Q1.次の3つの説明文から推測される世界遺産は何でしょうか。世界遺産検定4級
・地球上で最も低い緯度で海水が凍る季節海氷域(きせつかいひょういき)である
・食物連鎖(しょくもつれんさ)を通じた海から山まで一体となった生態系が特徴である
・イタリアのフィレンツェとほぼ同じ緯度にある
- 知床
- 白神山地
- 小笠原諸島
- 屋久島
参照サイト:世界遺産検定公式サイト
Q2.『白神山地』に生息する絶滅危惧種の生物は何でしょうか。。
- クマゲラ
- ヤクザル
- イグアナ
- セーブル・アンテロープ
参照サイト:世界遺産検定公式サイト
日本の世界遺産の中でも、自然遺産では国内初の白神山地、そして広大な地域が登録されている知床。
平安時代から地域の風習に合わせて残る平泉の仏教文化、東北から北海道にかけて点在する縄文時代の歴史的な遺跡。
世界遺産検定にも出題されているため、代表的な動植物、寺院の名前と合わせて覚えておきたいですね。
「先生、この記事を読んで東北と北海道の世界遺産にすごく興味が湧きました!今度、実際に訪れてみたいです。」
「それは素晴らしいことだね、ユウ。実際に訪れると、歴史や自然の素晴らしさを肌で感じることができるよ。ぜひ、その時はこの記事で学んだ知識を活かしてね。」