日本の世界遺産について調べていると、一つの興味深い現象が浮かび上がってきます。それは、日本国内の世界遺産が関西や九州地方に多いという事実です。この記事では、日本国内の世界遺産を東日本と西日本に分けて、その分布を詳しく比較していきます。さらに、文化遺産と自然遺産の割合についても掘り下げ、なぜ西日本に世界遺産が多く集中しているのか、その理由を探っていきます。
前回の記事では、世界遺産として認定された石見銀山の歴史について紹介しました。また、世界遺産の登録の流れや、世界遺産検定に関する情報も提供しました。これらの記事を併せて読むことで、世界遺産についての理解が一層深まるでしょう。
東日本と西日本の世界遺産の特徴と違いについて知ることができる
世界遺産が観光産業と地域経済にどのような影響を与えるかがわかる
未来の世界遺産候補地とその登録に向けた取り組みについて理解できる
日本国内で登録されている世界遺産と東日本と西日本の分かれ目
「先生、日本の世界遺産って西日本に多いって本当ですか?」
「はい、特に関西や九州地方には多くの文化遺産が集中しています。これは、歴史的に見ても日本の文化が西日本から広がったことが大きな要因ですね。」
世界遺産について調べていると、ふと気になることが見つかりました。
日本国内の世界遺産は、関西や九州地方に多いのではないでしょうか?
今回は、日本国内の世界遺産を東日本と西日本に分けて、比べてみることにしました。
東日本と西日本の世界遺産に触れる前に、まずは東日本と西日本の分け方についてまとめさせていただきます。
一般的な分け方〜東日本と西日本
・東日本は一般には北海道・東北地方・関東
(東日本)
都道府県:東京都、神奈川県、千葉県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、青森県、岩手県、宮
城県、秋田県、山形県、福島県、北海道、1都1道11県
人口:約5707万人
面積:182805.71km2
一般的な分け方とされる定義では、東日本は北海道・東北地方・関東とされています。
人口と面積は西日本とほとんど変わりありませんが、首都圏に日本の人口が集中していることと、北海道の面積だけで東日本の半分に迫るため、都道府県の数は西日本よりも少なくなります。
・西日本は近畿・中国・四国・九州の総称
(西日本)
都道府県:大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県、三重県、滋賀県、石川県、富山県、福
井県、新潟県、長野県、山梨県、岐阜県、愛知県、静岡県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、
山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎
県、鹿児島県、沖縄県、2府31県
人口:6803万人
面積:192686.78km2
西日本は、近畿・中国・四国・九州の総称とされています。
中部地方と北陸地方が西日本に含まれているため、都道府県の数がとても多くなります。
実際の分け方〜中部地方・北陸地方で
・東日本は静岡・長野・新潟以東
(東日本)
都道府県:東京都、神奈川県、千葉県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、山梨県、静岡県、長
野県、新潟県、山形県、福島県、宮城県、秋田県、岩手県、青森県、北海道、1都1道15県
人口:約6559万人(+852万人)
面積:221194.14km2(+38388.43km2)
一方、経済的・文化的なつながりで分けると東日本は静岡・長野・新潟以東とされています。
新潟県が加わったことで面積は西日本を大きく上回ります。
・西日本は富山県・岐阜県・愛知県以西
(西日本)
都道府県:大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県、三重県、滋賀県、石川県、富山県、福
井県、岐阜県、愛知県、岡山県、広島県、鳥取県、島根県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、
高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県、2府27県
人口:5951万人(−852万人)
面積:154296.35km2(−38388.43km2)
同じように、西日本は富山県・岐阜県・愛知県以西とされています。
人口と面積は東日本よりも低くなってしまいますが、経済的な生活圏、文化的な暮らしではこちら
の方が分かりやすいのではないでしょうか?
今回の世界遺産の分け方では、こちらの「実際の分け方」で東日本と西日本の世界遺産を比べてみます。
東日本と西日本の世界遺産一覧
「東日本と西日本の世界遺産にはどんな違いがあるんでしょう?」
「いい質問ですね。東日本は自然遺産が多く、西日本は文化遺産が多い傾向にあります。これは、それぞれの地域の歴史や地理的条件が影響しているんです。」
日本国内で登録されている世界遺産をまとめてみました。
東日本の世界遺産一覧
・白神山地(No.4/青森県・秋田県) 自然遺産
・日光の社寺(No.10/栃木県) 文化遺産
・知床(No.13/北海道) 自然遺産
・小笠原諸島(No.15/東京都) 自然遺産
・平泉‐仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群(No.16/岩手県) 文化遺産
・富士山‐信仰の対象と芸術の源泉(No.17/山梨県・静岡県) 文化遺産
・富岡製糸場と絹産業遺産群(No.18/群馬県) 文化遺産
・ル・コルビュジエの建築作品‐近代建築運動への顕著な貢献(No.20/東京都) 文化遺産
・北海道・北東北の縄文遺跡群(No.25/北海道・青森県・岩手県・秋田県) 文化遺産
西日本の世界遺産一覧
・法隆寺地域の仏教建造物(No.1/奈良県) 文化遺産
・姫路城(No.2/兵庫県) 文化遺産
・屋久島(No.3/鹿児島県) 自然遺産
・古都京都の文化財(京都市、宇治市、大津市)(No.5/京都府・滋賀県) 文化遺産
・白川郷・五箇山の合掌造り集落(No.6/岐阜県・富山県) 文化遺産
・原爆ドーム(No.7/広島県) 文化遺産
・厳島神社(No.8/広島県) 文化遺産
・古都奈良の文化財(No.9/奈良県) 文化遺産
・琉球王国のグスク及び関連遺産群(No.11/沖縄県) 文化遺産
・紀伊山地の霊場と参詣道(No.12/三重県・奈良県・和歌山県) 文化遺産
・石見銀山遺跡とその文化的景観(No.14/島根県) 文化遺産
★明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業(No.19/福岡県・佐賀県・長崎県・熊
本県・鹿児島県・山口県・岩手県・静岡県) 文化遺産
・「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群(No.21/福岡県) 文化遺産
・長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産(No.22/長崎県・熊本県) 文化遺産
・百舌鳥・古市古墳群‐古代日本の墳墓群(No.23/大阪府) 文化遺産
・奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島(No.24/鹿児島県・沖縄県) 自然遺産
日本国内の世界遺産は西日本に多かった
東日本の世界遺産は文化遺産6と自然遺産3の合計9、西日本の世界遺産は文化遺産14と自然遺産2の合計16でした。
ほとんどの登録内容が西日本ですが、全国にまたがる『明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業(No.19)』を東日本に加えても日本国内の世界遺産は西日本に多い結果です。
東日本は自然遺産の割合が高い
日本国内の世界遺産は、西日本に多いことは明らかです。興味深いのは、登録されている世界遺産に占める自然遺産の割合です。
東日本は、9つの世界遺産の中で自然遺産は3つでした。西日本では、16の世界遺産の中で自然遺産は2つです。東日本は自然遺産の割合が高いことがわかります。
世界遺産の審査基準と登録プロセス
世界遺産に登録されるためには、厳格な審査基準を満たし、複雑な登録プロセスを経る必要があります。ユネスコの世界遺産委員会が定める基準には、遺産の顕著な普遍的価値や保存状態、信憑性と完全性、そして脅威の存在が含まれます。
これらの基準をクリアした後、暫定リストへの登録、提案書の提出、現地調査、評価と審査を経て、最終的に世界遺産委員会によって登録が決定されます。
この章では、世界遺産の登録条件と基準、およびその詳細な登録プロセスについて詳しく説明します。
世界遺産の登録条件と基準
世界遺産に登録されるためには、ユネスコの世界遺産委員会が定める厳格な基準を満たす必要があります。これらの基準は、文化遺産と自然遺産の両方に適用され、以下のような要素が含まれます。
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顕著な普遍的価値:登録対象は、その存在が全人類にとって重要であると認められる価値を持つものでなければなりません。これは、歴史的、芸術的、科学的、またはその他の文化的価値に基づくものです。
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保存状態:対象となる遺産は、その価値を保持するために適切に保存されている必要があります。これには、物理的な状態だけでなく、管理体制や法的保護も含まれます。
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信憑性と完全性:文化遺産の場合、その歴史的な信憑性や建造物の完全性が求められます。自然遺産の場合は、生態系や景観の完全性が重要視されます。
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脅威の存在:登録候補地が現存する脅威(例えば開発計画や自然災害)から適切に保護されていることも重要な基準です。
これらの基準を満たすことで、遺産はユネスコの世界遺産リストに加えられる資格を得ます。
登録プロセスの詳細
世界遺産の登録プロセスは複雑で、多段階にわたる手続きが必要です。以下はその主要なステップです。
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暫定リストへの登録:まず、各国政府は世界遺産として登録を希望する遺産を暫定リストに追加します。このリストはユネスコに提出され、登録候補地としての第一歩となります。
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提案書の提出:暫定リストに掲載された遺産について、詳細な提案書を作成し、ユネスコに提出します。この提案書には、遺産の価値、保存状況、管理計画などが含まれます。
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現地調査:ユネスコの専門家が現地を訪れ、提案書に基づいた詳細な評価を行います。この調査は、遺産の価値や保存状況を直接確認するための重要なプロセスです。
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評価と審査:現地調査の結果を踏まえて、ユネスコの専門委員会が提案書を評価します。この評価には、国際記念物遺跡会議(ICOMOS)や国際自然保護連合(IUCN)などの専門機関の意見も含まれます。
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世界遺産委員会の決定:最終的に、ユネスコの世界遺産委員会が年次会議で登録の可否を決定します。ここで承認されれば、正式に世界遺産リストに加えられます。
このプロセスを通じて、各遺産の価値が厳密に審査されるため、世界遺産リストには非常に価値の高い遺産のみが登録されることになります。
詳細については、ユネスコの公式サイトをご覧ください。 ユネスコ公式サイト
世界遺産の文化的価値と自然的価値
世界遺産は、文化的価値と自然的価値の2つの主要なカテゴリに分類されます。これらの価値は、それぞれが持つ独自の特徴と重要性に基づいて評価されます。
文化遺産は、人類の歴史や文化の発展において重要な役割を果たしてきた建造物や遺跡を指し、自然遺産は、自然の驚異や生態系の保護において重要な役割を果たす地域を指します。
この章では、文化遺産としての価値と自然遺産としての価値について詳しく説明します。
文化遺産としての価値
文化遺産は、人類の歴史や文化の発展において重要な役割を果たしてきた建造物、遺跡、景観などを指します。以下の点が文化遺産としての価値を高めます。
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歴史的価値:建造物や遺跡がその時代の歴史や文化を反映している場合、その価値は非常に高くなります。例えば、古代都市や宗教的な建築物は、その時代の社会構造や信仰を知る上で重要です。
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芸術的価値:建築物や工芸品が高い芸術性を持っている場合、その美術的価値も評価されます。これは建築様式や装飾技術、工芸品のデザインなどが含まれます。
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象徴的価値:文化遺産は、特定の地域や民族の象徴としての役割を果たすこともあります。これにより、その地域や民族のアイデンティティを理解するための手がかりとなります。
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教育的価値:文化遺産は教育資源としても重要です。歴史や文化を学ぶための現場となり、次世代に知識を伝える役割を果たします。
自然遺産としての価値
自然遺産は、自然の驚異や生態系の保護において重要な役割を果たす地域を指します。以下の点が自然遺産としての価値を高めます。
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自然の美:壮大な景観や珍しい地形、特異な自然現象など、美しい自然の景観が評価されます。これには山脈、渓谷、海岸線などが含まれます。
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生物多様性:豊かな生態系や珍しい動植物の生息地としての価値も重要です。これにより、地球上の多様な生命を保護する役割を果たします。
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地質学的価値:特異な地質構造や地形が存在する地域は、地質学的に重要な研究対象となります。これにより、地球の歴史や地質過程を理解する手がかりとなります。
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保護価値:自然遺産は環境保護の観点からも重要です。これらの地域は、環境保護活動や持続可能な利用のモデルケースとなり得ます。
これらの価値に基づいて、文化遺産と自然遺産はそれぞれの独自の重要性を持ち、ユネスコの世界遺産リストに登録されています。これにより、世界中の人々にその価値が認識され、保護と保存の努力が促進されます。
東日本と西日本の世界遺産の特徴
日本国内の世界遺産は、東日本と西日本に広く分布していますが、それぞれの地域には独自の特徴があります。東日本の世界遺産は自然遺産が多いのに対し、西日本の世界遺産は文化遺産が多数を占めています。これらの特徴は、それぞれの地域の歴史や文化、地理的条件によるものです。この章では、東日本と西日本の世界遺産の特徴について詳しく説明します。
東日本の世界遺産の特徴
東日本の世界遺産は、豊かな自然環境に恵まれていることから、自然遺産が多いのが特徴です。また、文化遺産もいくつか存在し、その多くは自然と共生する形で発展してきました。
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自然遺産の割合が高い:
- 東日本には、白神山地や知床、小笠原諸島といった自然遺産が存在します。これらの地域は、手つかずの自然環境や豊かな生態系を保持しており、自然保護の重要性を示しています。
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文化と自然の調和:
- 東日本の文化遺産には、日光の社寺や平泉があり、これらは自然と文化が調和した景観を特徴としています。例えば、日光の社寺は、美しい自然環境の中に歴史的な建造物が点在しており、自然と文化の融合が見られます。
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歴史的背景:
- 東日本は、古くからの文化や宗教の中心地ではありませんでしたが、江戸時代以降、経済的な発展が進み、文化的な価値が高まってきました。富岡製糸場と絹産業遺産群は、その一例です。
西日本の世界遺産の特徴
西日本の世界遺産は、歴史的に重要な文化遺産が多く、古代からの建築物や宗教的な遺産が多数存在します。この地域は、日本の歴史と文化の中心地としての役割を果たしてきました。
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文化遺産の集中:
- 西日本には、法隆寺地域の仏教建造物や古都京都の文化財、姫路城など、多くの文化遺産があります。これらの遺産は、古代からの日本の歴史や文化を象徴する建造物です。
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宗教的・歴史的な重要性:
- 西日本は、日本の宗教や政治の中心地としての役割を果たしてきました。例えば、古都奈良の文化財や厳島神社は、日本の宗教的な歴史を物語る重要な遺産です。
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海外との交流の痕跡:
- 西日本の世界遺産には、長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産など、海外との交流を反映したものも多くあります。これらの遺産は、日本が他国とどのように関わってきたかを示しています。
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自然遺産も存在:
- 文化遺産が多い中で、屋久島や琉球王国のグスク及び関連遺産群などの自然遺産も存在します。これらは、豊かな自然環境と生態系を保護する重要な地域です。
日本の世界遺産がもたらす観光への影響
世界遺産は、その文化的・自然的な価値によって多くの観光客を引きつけ、観光産業と地域経済に大きな影響を与えます。日本における世界遺産も例外ではなく、国内外からの観光客が訪れることで観光産業に貢献し、地域経済の活性化に寄与しています。
この章では、日本の世界遺産が観光産業および地域経済に与える影響について詳しく見ていきます。
観光産業への貢献
日本の世界遺産は観光産業に大きな貢献をしています。世界遺産に登録されることで、その地域への注目度が一気に高まり、多くの観光客を引き寄せる効果があります。
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観光客の増加:
- 世界遺産に登録されると、その価値が広く認知されるようになり、国内外から多くの観光客が訪れます。例えば、富士山が世界遺産に登録された後、訪れる観光客の数は飛躍的に増加しました。
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観光施設の整備:
- 観光客の増加に伴い、観光施設やインフラの整備が進みます。宿泊施設や飲食店、交通機関などのインフラが充実することで、観光地としての魅力がさらに高まります。
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ガイドツアーやイベントの開催:
- 世界遺産に関連したガイドツアーや文化イベントが開催されることで、観光客に対してその地域の歴史や文化を深く理解してもらう機会が増えます。これにより、観光客の満足度が高まり、リピーターが増加します。
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ブランド価値の向上:
- 世界遺産に登録されることで、その地域のブランド価値が向上します。これにより、観光地としての信頼性が高まり、観光客にとって魅力的な訪問先となります。
地域経済への影響
世界遺産が地域経済に与える影響は多岐にわたります。観光客の増加に伴い、地域経済が活性化し、地元の産業や雇用に大きな影響を与えます。
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経済効果の波及:
- 観光客が増えることで、宿泊施設、飲食店、土産物店などの売上が増加します。これにより、地域全体の経済が活性化します。
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雇用の創出:
- 観光産業の発展に伴い、地元での雇用が増加します。ガイドやホテルスタッフ、飲食店従業員など、観光関連の職業に就く人々が増え、地域の雇用状況が改善します。
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地域産業の発展:
- 世界遺産に関連する地域産業も発展します。地元の特産品や工芸品、伝統文化などが観光客に紹介されることで、その価値が再評価され、産業の活性化に繋がります。
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インフラ整備の促進:
- 観光客の利便性を高めるために、交通インフラや観光施設の整備が進みます。これにより、地域住民の生活環境も向上し、地域全体の魅力が増します。
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地域のアイデンティティの強化:
- 世界遺産に認定されることで、地域住民は自分たちの文化や歴史に対する誇りを持つようになります。これにより、地域のアイデンティティが強化され、住民の結束力が高まります。
未来の世界遺産候補地とその可能性
日本には、現在世界遺産に登録されていないものの、その価値が認められている多くの候補地があります。これらの候補地は、今後の登録に向けて様々な取り組みが進められています。この記事では、現在の候補地一覧と、未来の世界遺産登録に向けた取り組みについて詳しく説明します。
現在の候補地一覧
日本には、世界遺産に登録される可能性のある多くの候補地があります。これらの候補地は、文化的、歴史的、自然的な価値が高いと認められており、将来的な登録が期待されています。
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飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群(奈良県):
- 日本の古代史を語る上で重要な遺跡群であり、飛鳥時代から奈良時代にかけての政治・文化の中心地です。
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彦根城(滋賀県):
- 江戸時代の城郭建築の代表例であり、保存状態が非常に良いことから、文化遺産としての価値が高いと評価されています。
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佐渡金山(新潟県):
- 江戸時代から明治時代にかけて日本の経済を支えた金鉱山で、その歴史的・産業的価値が認められています。
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奄美・沖縄の島々(鹿児島県・沖縄県):
- 生物多様性が豊かで、独自の生態系を持つ島々です。自然遺産としての登録が期待されています。
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富士山の南麓地域(静岡県・山梨県):
- 世界遺産として登録されている富士山の周辺地域で、その自然景観や文化的価値が再評価されています。
未来の登録に向けた取り組み
未来の世界遺産登録に向けて、日本政府や地元自治体、各種団体が様々な取り組みを行っています。これらの取り組みは、候補地の価値を高めるだけでなく、保存と保護を強化するために重要です。
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保存と管理計画の策定:
- 候補地の保存と管理計画を策定し、遺産の価値を維持するための具体的な対策を講じています。これには、定期的な点検や修復作業、環境保全活動が含まれます。
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地元コミュニティとの協力:
- 地元住民や企業と協力し、持続可能な観光の推進や地域経済の活性化を図っています。地元の協力は、遺産の長期的な保護と管理に不可欠です。
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教育と普及活動:
- 学校教育や地域イベントを通じて、遺産の価値や重要性を広く伝えています。これにより、次世代に向けた遺産の保護意識を高めています。
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国際的な協力:
- 他国の世界遺産機関と協力し、技術や知識の共有を行っています。国際的な支援を得ることで、登録プロセスを円滑に進めることができます。
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研究と調査:
- 遺産の価値を科学的に証明するための研究や調査を行っています。これには、考古学的な発掘や生態学的な研究が含まれます。
これらの取り組みを通じて、日本の世界遺産候補地は、未来の登録に向けて着実に準備を進めています。世界遺産としての登録が実現すれば、その価値がさらに広く認識され、保護と管理が一層強化されるでしょう。
日本国内の世界遺産は西日本に多い理由
日本国内の世界遺産は、なぜ西日本に多いのでしょうか?
答えは、世界遺産の審査基準でもある歴史と文化の普遍的価値が大きく影響していました。
西日本は江戸時代まで日本の首都
西日本の文化の中心でもある京都府は、平安時代から江戸時代まで日本の首都でもありました。
江戸時代になり、政治の中心となった東京都(江戸)が首都の役割を担いますが、天皇陛下がお住まいになっていた京都は変わらず歴史の中心とされてきました。
さらに、奈良時代以前は奈良県内に首都があり、歴史的な歩みが建築物とともに残っています。
日本の文化は西日本から広まった
また、徳川幕府によって関東が開拓されるまで、文化と経済は西日本から広まったことは歴史的な事実です。
海外と交流が盛んだった地域も、近畿地方、九州地方のため、異国文化も関西から取り入れられ日本全国に広まってゆきます。
現在は歴史という形で日本の変化を語り、世界の注目を集めています。
日本国内の世界遺産は、東日本よりも西日本に多いことがわかりました。歴史を振り返ると、日本の文化は西日本から東日本へ広まっていたことは確かで、有史以来長く首都のあった近畿地方には、歴史的建造物という形で日本の変化の痕跡が残っています。
文化という視点で、日本の歴史を振り返るのも、海外と接するためには欠かせないことなのかもしれませんね。
「世界遺産がある場所って、観光地としてもすごく人気がありますよね。」
「その通りです。世界遺産に登録されると、観光客が増え、地域経済も活性化します。しかし、観光による環境への影響も考慮しなければならないという課題もあります。」
日本の世界遺産東西比較と文化・自然遺産の割合のまとめ
- 日本の世界遺産は関西や九州地方に多い
- 東日本と西日本に分けて世界遺産の分布を比較
- 東日本は自然遺産の割合が高い
- 西日本は文化遺産の割合が高い
- 世界遺産の審査基準と登録プロセスを説明
- ユネスコの審査基準には顕著な普遍的価値が含まれる
- 登録プロセスには提案書の提出と現地調査が含まれる
- 東日本の自然遺産には白神山地と知床がある
- 東日本の文化遺産には日光の社寺がある
- 西日本の文化遺産には法隆寺地域の仏教建造物がある
- 西日本の自然遺産には屋久島がある
- 世界遺産は観光産業に大きく貢献する
- 世界遺産が地域経済を活性化させる
- 未来の世界遺産候補地には飛鳥・藤原の宮都がある
- 日本の文化は西日本から広まった